健康意識が高まる漢方コラム:大雪(12/7頃)の過ごしかた

健康意識が高まる漢方コラム:大雪(12/7頃)の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第12回は、「大雪(12/7頃)」です。

 

「大雪(たいせつ)」って、どんな季節なの?

いよいよ、本格的な冬の到来です。動物たちは冬眠に入り、天気予報では「真冬並みの寒さ」といった言葉も飛び交うようになります。日照時間が減り、身体を動かすエネルギーとなる“陽気”が減り、代わりに自然界では“陰気”が増え始める頃――。

陽気が減ると気分も落ち込みますから、言葉通り“陰気”な気持ちになる人が増える傾向にあります。ちなみに、街では黒っぽい厚手のコートを着た人たちが寒そうに歩いていますが、じつは冬の五臓である「腎」が司る色は黒なんです。冬になると黒を着る人が増えるのは、もしかすると、そうした影響もあるのかもしれません。

(※)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。また、この「五行論」に基づく5つの色(青、赤、黄、白、黒)を「五色」といいます

 

「大雪」のパワーフードは?

「大雪」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「牛肉」! 牛肉は気(エネルギー)と血(けつ)を補い、身体をあたため、足腰や筋を強くするので、疲れやすい年末年始にピッタリの食材です。牛すね肉をスープにしてもいいですし、牛すじ肉の煮込みなども美味しいですね。

(イメージ:写真AC)

また、「しいたけ」もこの時期にぜひ摂りたい食材。生しいたけは、牛肉と同じくエネルギー補給をしてくれますが、干ししいたけになると、さらに「腎」「肝」を養うといった効能も加わるので、できれば、この時期は積極的に干ししいたけを使ってほしいと思います。さらに、「腎」を元気にして身体をあたためる「桜エビ」とショウガを使った、香り豊かな炊き込みご飯はいかが――? 米は、元気がない人、胃腸が弱っている人の“薬”のような食材なんですよ。そうそう、干ししいたけで出汁をとることもお忘れなく!

 

「大雪」の頃の、心と身体の状態は?

師走(12月)ならではの忙しさも重なり、疲労感、不安感、ストレスなどが特に強くなる頃です。ただでさえ、寒さから身体がエネルギー不足に陥りやすい時期ですが、昨年からのコロナ禍における負担や不安が、知らぬ間に、これらの症状に拍車をかけるかもしれません。なかには、夜中に目が覚めてしまう、ふと涙が出てくる、将来が不安になるといった心の症状がみられる人も多くなることでしょう。

この時期は最低気温が一桁にまで落ちる一方で、お昼くらいになると思いのほかあたたかくなるなど“寒暖差”が厳しく、私たちの身体――特に寒さが苦手な腎には――大きな負担がかかっています。生命の源である腎が弱ると、足腰が弱る、トイレが近くなる、骨が弱る、髪が薄くなる、ビクビクしやすくなる、怖がりやすくなる、あるいは男女ともに不妊に繋がることも……。
では、どのような過ごし方(養生)をすればよいのでしょうか――?

 

「大雪」の過ごしかた(養生)は?

この頃の養生のポイントは「補腎(ほじん)」「助陽(じょよう)」「温肺(おんはい)」。つまり、冬の五臓である腎を守り、減ってしまった陽気を助け、肺などの呼吸器系を冷やさないことが大切になります。

そして、この時期は少しでも(10分でも!)早く寝ること、少しでもいつもより休養することを心がけてみてください。日が沈むのも早いですから「外が暗い=休養」と、意識するのもよいでしょう。年末の多忙な時期ですが、ある程度の区切りをつけることが肝心です。また、メンタル面での不安感やストレスに対しては、何より「この時期は、心が弱りやすい」ということをしっかり認識して。ポイントは、「まだまだ頑張れる」と自分の健康を過信しないこと!

(イメージ:写真AC)

そして、中医学では「血肉友情の品」といいますが、エネルギー不足の身体に気血を補ってくれる動物由来の肉を摂るようにしましょう。疲労が強いときには、先述の牛肉や、前回、「小雪(しょうせつ)」のパワーフードとして取り上げた鶏肉を。ただし、消化負担になりやすい食材でもあるため、くれぐれも食べすぎにはご注意ください。鍋やスープなどに入れて“少量をしっかり食べる”ことをおすすめします。

 

「大雪」の中医学的・たのしみごと

外に出れば暗くて寒く、仕事は山積みで疲れがとれない……。そんな毎日が続き、どこか“幸福感”が落ちている人も多いのでは? そんな時こそ「人に会って話す」というシンプルな“交流”を楽しんでみましょう!

ただし、心身ともに疲れ切っていて、とにかく無気力だという人は、しっかりと休養をとるようにしてください。一方で、どこか気分が鬱々としている、不安が続く、イライラする、お腹にガスが溜まるといったタイプの人は、人としゃべることで気が巡る傾向があるんです。

(イメージ:写真AC)

時世柄、大人数で会うのは難しいかもしれませんが、親しい友人や家族と久しぶりに会ってくだらない話をしているうちに、少しずつ心がときほぐれていくのがわかるはずです。もちろん無理に実際に会わずとも、電話やビデオ通話でもオッケー! この時期、そんな“プチ忘年会”を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

先ほども触れましたが、コロナ禍では、何でもない日常が負担になっているもの。知らぬ間に、不安やストレスが溜まっている人が多いんです。「久しぶりに夜中に電話したら泣いてしまった」などという人も……。まだまだ油断ができない状況が続きますが、年の暮れには友人や家族と話すなどして、ぜひ、気持ちをリセットさせてくださいね。

*次回は「冬至」12月21日(火)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny


Written by 櫻井大典
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』、『こころの不調に効く! 気楽に、気うつ消し』(ともにワニブックス)、『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『漢方的おうち健診』(学研プラス)ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
Instagram: @pandakanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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