健康意識が高まる漢方コラム:冬至(12/22頃)の過ごしかた

健康意識が高まる漢方コラム:冬至(12/22頃)の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第13回は、「冬至(12/22頃)」です。

 

「冬至」って、どんな季節なの?

冬至は一年でもっとも夜が長く、中医学ではこの時期、もっとも“陰気”が極まると考えられています。一方で、「陰極まれば陽に転ず」という言葉の通り、冬至を境に少しずつ“陽気”が増えていくことから、古来より、季節の重要な節目とされてきました。「一陽来復(いちようらいふく)」ともいい、運気が上昇し次第に力がみなぎっていく、いわば、新しい年の始まりのような頃です。とはいえ、体感的には一気に寒さが増し、本格的な冬に備える時期――。疲れやすく元気を失う人も多くなる頃でしょう。

 

「冬至」のパワーフードは?

「当時」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「餃子」
「食材じゃなくて料理?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは、中国では冬至に餃子を食べるんです。
もともと餃子は、中国では“医者の神様”とされる、張仲景(ちょう・ちゅうけい)という人物が作った養生食。張仲景が寒さと飢えに苦しむ民衆に振舞ったのが、餃子(中国では水餃子)でした。耳に似せた餃子は、耳が凍傷になった多くの人を癒したそうです。――ぜひ、そんな餃子を、こちらも中国では“冬の風物詩”である「羊肉」を使って作ってみませんか? 温性※1の羊肉は、身体をあたためて栄養を補給してくれる、この時期の心強い味方です。

(イメージ:写真AC)

また、日本で冬至といえば「かぼちゃ」ですね。温性※1のかぼちゃは、野菜ではめずらしく身体をあたため、消化器系の働きをよくするので、この時期にうってつけの食材。腎※2を養ってくれる黒ゴマ、潤い補給剤のはちみつとあわせた、大学芋ならぬ大学かぼちゃはいかが? ほくほく甘く美味しいので、お子さんもよく食べてくれますよ。

(※1)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

(※2)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

 

「冬至」の頃の、心と身体の状態は?

12月の初旬から、疲れやすい、気分が落ち込む、元気がないといった状態が続いている人も多いことでしょう。とくに“陰気”が極まる冬至の頃は、気分の落ち込みが顕著に出やすいときです。また、心臓を動かすためのエネルギーとなる“陽気”が減るため、動悸、胸の圧迫感、息切れ、不安感の強さなどをおぼえる人もいるかもしれません。

本来 “陽気”の塊である心臓に負担のかかるこの時期は、心疾患の既往歴がある方は、十分に気をつけるようにしてください。とくに、動脈硬化のすすんだ高齢者、高血圧や糖尿病の方、肥満型、睡眠不足の人は、寒暖差による「ヒートショック」などにも注意が必要です。

では、どのような過ごし方(養生)をすればよいのでしょうか――?

 

「冬至」の過ごしかた(養生)は?

この時期は「補陽益腎(ほようえきじん)」といって、陽気を補い、腎を守ることが養生のポイントになります。そのためには、とにかく身体をあたためる(=冷やさない)こと。先ほど注意が必要と話した「ヒートショック」も冷えが原因となりますので、若いからと油断せず、脱衣所に小さなヒーターを置いてあらかじめ暖かくしておくなど、少しでも心臓への負担を少なくすることが大切です。
また、少なくなった“陽気”を補うためにも、シャワーでなく湯船に浸かる、素肌をさらさない、あるいは湯たんぽを使うのもおすすめ。

(イメージ:写真AC)

そして、意外な落とし穴は飲み物です。「あたたかい飲み物ならオッケー」と勘違いされている人も多いのですが、身体をあたためようと熱い飲み物を飲んでも、身体に入ればただの水分……結局は、身体の熱を奪い、尿となって出ていくことになります。というのも“冷たい尿”が出る人はいませんね? つまり、水分を摂ることで熱交換が行われるため、胃腸が弱り、疲れやすくなるなど、身体のエネルギーを消耗してしまうというわけです。
もちろん、ブレイクタイムの“ご褒美”ラテ一杯程度ならオッケーですが、この時期、飲み会でビールを何杯も飲むなどすると、身体の負担になるということを覚えておいてください。

とはいえ、楽しむことも養生! たまの飲み会でのビールを心から楽しむためにも、普段から丈夫な心と身体を作っておくこそが、養生の真髄だといえるでしょう。

 

「冬至」の中医学的・たのしみごと

冬至といえば、柚子湯ですね! 中医学的にも、香りの良いものは気を巡らす、精神を安定させるなど、たくさんの良いパワーを持っていると考えます。柚子も万能で、ため息が多い、気分が憂鬱、食欲不振、また、吐き気などにも、良い効果を発揮します。

ぜひ、冬至には柚子湯を楽しんで。風呂に柚子を入れるときは、そのまま丸ごと、または果肉を使ったあとの皮を湯船に浮かべましょう。スライスしたり果汁を絞って入れたりすると、肌がピリピリとしびれることがあるので、くれぐれも注意してくださいね。ちなみに種のオイルには、お肌すべすべ効果もあります。

(イメージ:写真AC)

身体をあたためるだけでなく、柚子の爽やかな香りに包まれることで、憂鬱な気分もフワッと明るくなるはずですよ。

 

もうすぐクリスマス。街中では“赤鼻のトナカイ”が流れる頃ですが、トナカイといえば鹿。鹿といえば、中医学では鹿の角は貴重な生薬=高級食材だと知っていましたか? 身体をあたため元気にし、強壮剤としても効果抜群! 中国では、高級な金色の箱の中にスライス(輪切り)された鹿の角が入って売られていて、お歳暮などに使われるんです。そう考えると、トナカイのイメージも、少し変わってきますね……(笑)。

*次回は1月4日(火)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny

 

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』、『こころの不調に効く! 気楽に、気うつ消し』(ともにワニブックス)、『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『漢方的おうち健診』(学研プラス)ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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