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「写真の自分が想像より太っててショック！」という経験をお持ちのアナタ！
この連載が、あなたのダイエットの駆け込み寺になります！！！
「ダイエットあるある」共感するもよし、反面教師にするもよし。ダイエットにまつわる失敗を、ここに全て置いてきました。
「読めば痩せる！？」笑えるダイエットストーリー、第４話！

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《第4話》「話題の“16時間ファスティング”を実践した女の末路」

これは、もはや事件だ。
まさかこんなことになるなんて……！

時間は刻一刻と迫っている。
急げ！　急げ急げ急げ！！
最速で頭を回せ。考えてから動くんじゃない。動きながら考えるんだ！

焦る私を尻目に、会社のデスクに置かれた時計の秒針は、無常にもその針を進めていく。

時刻は19時2分。

私に残された時間は後58分……。くそ！　もう時間がない！
自分の出せる最大速度で一刻も早く仕事を終わらせなければ！！
急いで仕事を終わらせて、20時までに自宅の冷蔵庫に大切にしまってある“苺まみれのフルーツタルト”（１ホール）を食べなければ！！

説明しよう！！
私が現在行っているのは、16時間ファスティングだ！
16時間ファスティングとは、1日の間の16時間、断食（ファスティング）をし、残りの８時間で なんでも、好き勝手食っていい！　と言う、今巷で大流行中なダイエット法である！

16時間も何も食べないって聞くと、「え？キツくね？」とお思いの方もいるかもしれない。
でも！　この16時間には、睡眠の時間も含まれる。
例えば20時に食べ終わり0時に寝たとする。そこから７時間半寝たとしたら、あと４時間半耐えれば、その後はもう20時までなにを食べても、どんな飲み物を飲んでもO Kというのだ！

ケーキ でも 唐揚げ でも ピザ でも、何食べてもいいのだっ！！

ウヒョヒョヒョヒョ！！！！

しまった、興奮しすぎて笑い方がとんでもなく下品になってしまった。
しかし、私は思った。

これはいけるっ！！

というわけで、今日は昼まで「私は仏。私は仏。私は仏。私は仏。私は仏。」
と唱えながら空腹に耐え忍びつつ仕事をし、
昼は後輩ちゃんに白い目で見られながらも唐揚げ定食を腹一杯頬張り、
フラペチーノ的なものをズビビビーっと飲み干し、
仕事をしつつチョコ的な何がしを我慢せずにつまんだ！

ふふふふふ……！
この姿を見て、よもや私がダイエットをしているとは夢にも思うまい。
しかしっ！！　私はダイエット中だ！！（とチョコをかじる！）

ま、できれば「頑張ってダイエットしてます！」みたいなのは誰にもバレたくない。そういう意味ではちょうど良い。
あんなツイートで10キロ痩せることになったなんて、恥ずかしくて誰にも言えん！

と、退社時間が迫った頃、
私の元に、ある女上司（嫌いな上司ランキング１位）が近寄ってきた……。
……嫌な予感しかしない。

あーー！！　やっぱり仕事を押し付けられたーーっ！！

今日の〆として買っておいた“苺まみれのフルーツタルト”（１ホール）が冷蔵庫で待機しているというのに！　しかもこんな時に限って在宅ワーク不可案件！！
しかし、ここで嫌な顔をして仕事してたら、後々もっと嫌な案件を任される可能性が高まる！！
なんとか最速で仕事を終わらせなければ！

これは、もはや事件だ。
まさかこんなことになるなんて……！

時間は刻一刻と迫っている……っ！！
急げ！　急げ急げ急げ！！
最速で頭を回せ。考えてから動くんじゃない。動きながら考えるんだ！

正直、腹は減ってない。昼は唐揚げガッツリいったし、間食もパックパク食べてたし。
でも、せっかく20時までは好きなもん食べれるんだから！　20時以降は食べれないんだから！　

苺まみれフルーツタルトは絶対全部食うっ！！
苺に、まみれてみせるっ！！！（賞味期限今日だし）

でも！　急いでるのを決して気取られてはいけない！
急いでいることがバレれば、あの女上司（嫌いな上司ランキング１位）から更に仕事を振られる可能性があるっ！！

いつも通り、涼しい顔で、
でも手は最速で動かす！！

ぬぉうおりゃあああぁあああ！！

時刻は19時を回った！
私の会社から家までの最速のラップタイムは37分2秒。
まだ間に合う！！　てか間に合わせる！！　必ず間に合わせ──

女上司「悪い、追加でこれもチャチャッと頼むわ」

……そして、時刻は19時29分。
仕事は終わった。

「お疲れー」
と、女上司（嫌いな上司ランキング殿堂入り）は帰っていく。

私は、自分のデスクで突っ伏した。
今帰ったところで、20時には間に合わない……。
私はもう、苺にまみれることは出来ない。
もう……諦めるしかない。

…………

私は、鞄をガッと掴み、エレベーターを待つ女上司にはバレないように、非常階段を駆け降りた！！
諦められない！
諦められるわけがない！！
せっかく食べられるフルーツタルトを！！
諦める私じゃないっ！！！！

私は会社を出ると、道路脇で高々と左手をあげる。
タクシーに乗れば！　タクシーに乗れば、まだ希望は、ある！！

 

……この後の記憶は定かではない。
断片的に覚えているのは、

帰宅直後の自宅の時計が19時57分だったこと、
苺まみれのフルーツタルトをホールごと、なりふり構わずまるかじりしたこと、
手や口、どころか全身を苺にまみれさせながら、20時1分にはぶっ倒れていたこと、だろうか。

これは、もはや事件だ。

翌日の体重は、
まあ、言うまでもない。

 

“知識”を身につけた未来のわたしから一言二言

あ、ここで一つ朗報というか、報告というか、なのですが、
16時間ファスティングは実際、効果がないわけではないと思うんです。

むしろ、
「ダイエットってなかなか続かないんです。何から始めるのがいいんですか〜？」
と聞かれたら、私が一番最初に
「とりあえずまあこれからやってみるといいかもよ」
ってすすめるのが、この16時間ファスティング。入門編としては悪くない選択肢。

しかし、である。

私の体感からいえば、
食べてもいい8時間は何を食べてもいいー！！
訳が無い！！

16時間ファスティングと検索してみると、
効能、効果として、オートファジーとか、胃腸を休める時間が取れるとか、だから８時間は何を食べてもいい、とか良く書かれているが、
正直、その８時間で暴飲暴食をすれば答えは……言わずもがなではないだろうか。
結局は、どれだけ短時間で食べようが、摂取カロリーが消費カロリーを上回れば太ります。

そもそも、この16時間ファスティングに反していて、よくダイエット界隈で言われるのが
「朝食の重要性」。
これは、朝食を食べることで、基礎代謝が上がるとかなんとかという話なのですが（この基礎代謝の話は重要なことなので後々書こうと思うが）
正直私は、

「いや、どっちなんだい！！」

と、思った。
胃を休める16時間ファスティングが良いのか、朝食を食べて代謝を上げる方がいいのか、
一体どっちが痩せるんだい！！　どっちなんだい！！
と、私と同じきんに君化してしまったそこのあなた、
私が結論を申し上げるなら、

どっちも痩せるし、どっちも太る。

…………

「いや、どっちなんだい！！」

 

今回お話した“16時間ファスティング”、
人間、何時にどれくらい食べようが、食べ過ぎれば太ります。
が、食事時間を８時間にすることで、食べられる時間が少なくなるから、気にせず食べても結果的に摂取カロリー（食べたエネルギー）が消費カロリー（動いたエネルギー）を下回ることが多い。だから痩せる。
耐えてる時間の空腹感はある（特に朝はある）けど、食べれる8時間はしんどくない。
だから続きやすい。

ざっくり言えば、こういうカラクリです。

ただ、どれくらいを目指すかにもよりますが、16時間ファスティングだけではあなたが思う理想のカラダにはならない可能性が高い。だからあくまで入門編としては、おすすめと言う感じなんです。

奥が深いダイエットの世界。
ダイエット攻略法の鍵を握るのは間違いなく、運動でもなく、食事でもない。鍵を握るのは実は、

知識 です。

次回は、私が少しだけ己を知った話をしようかなって思います。
と、その前に、先ほどの4話の続きを少し──。

 

第04話のつづき

あのツイートをしてから、かれこれ一ヶ月半が経とうとしている。

オートミールもダメ、ロカボナッツもダメ、運動もサラダも、ファスティングもダメ！！
もうどうやったら痩せるん？？
まじでわからん！！

と、会社の休憩中、デスクで絶望していた私に、このブログの編集をしてくれている、カニブックスのY編集から電話がかかってきた。

Y編集「このままだと連載中止です」

まじか。

Y編集「10キロ痩せるを追いかけるエッセイなんですけど」

おお……そうだよね。うん。わかってるよ。

Y編集「〇〇ダイエットしても全く痩せねーじゃねーか！（小笑い）でどれだけ引っ張るつもりですか？」

いや引っ張ってるつもりは決して……

Y編集「とにかくそろそろなんとかしてもらわないと」

そう言われましてもぉぉーーー！！

電話を切り、デスクで突っ伏していると、
「先輩」
と声をかけてきた、一人の後輩ちゃん。

後輩ちゃん「この間はすみませんでした」

と頭を下げる後輩ちゃん。そういえば少し前に後輩ちゃんのミスを私が被ったことがあった（第３話参照）。
おそらくそのことだろう。「いやいいよいいよ〜」と口にしようとすると──

後輩ちゃん「先輩、ダイエットしてますよね？」

……え？

10キロ痩せるまで、あと10キロ──
（第５話につづく…2023年９月18日公開予定）

 

作者／【体脂肪率３％の脚本家】の保木本真也
『家政夫のミタゾノ』（テレビ朝日）『事件』（WOWOW）など
ベストボディジャパン2023松山大会 モデルジャパン部門ミドルクラス グランプリ

イラスト／藍沢みお、津和野諒