【ダイエットの落とし穴】『ケトジェニックダイエット』で大火傷した女の末路

【ダイエットの落とし穴】『ケトジェニックダイエット』で大火傷した女の末路



座った時、太もものズボンがパツパツになってきたのが気になるアナタ!
このエッセイが、ダイエットの駆け込み寺になります!!!
「ダイエットあるある」共感するもよし、反面教師にするもよし。
ダイエットにまつわる失敗を、ここに全て置いてきました。
「読めば痩せる!?」笑えるダイエットストーリー第5話。


 

《第05話》「上級者向!? 『ケトジェニックダイエット』で大火傷した女の末路」

まずい。正直まずい……。
いや、今、目の前にあるオートミールの話ではない。
(美流(ミール)くんはとても美味しい。いつもありがと美流(ミール)くん(※第一話参照))

今の状況が、とてもまずい。
今の状況はもう濃縮還元した苦虫くらいまずい。
状況がまずいから目の前にあるオートミールまでまずいのではないかと感じられるくらいにまずい……。

ホントどうにか痩せないと、このエッセイは連載打ち切りだ!
だから頑張らないと……。
先日、担当編集のY編集から、
Y編集「10キロ痩せるを追いかけるエッセイなんですけど」
と痩せてないことを指摘されたばかり。10キロ痩せるまで、あと10キロ……。
この2ヶ月強、全く痩せていない……。

いや、色々頑張ってはいるんですよ……。
それはここまで読んでくださっている読者様ならわかってくださるはず……! オートミールとかさ色々試してるわけで……(※オートミールを食べて痩せない理由は第一話参照)。
でも……痩せんのです……。ほんとなんであんなツイートしちゃったんだろう。そしてなんでこのエッセイをやりますなんて言っちゃったんだろう。しかも、なんでダイエットしなきゃいけないこと会社の後輩にバレちゃったんだろう……。

 

後輩ちゃんにバレたのは先週の金曜――

会社で、
後輩ちゃん「この間はすみませんでした」
と頭を下げてきた後輩ちゃん。

「先輩、ダイエットしてますよね?」
と、あまりに突然言われ、面食らった私(あ、今「面食らった」とかあんま使わない日本語使ってしまったがために「麺食らった」と頭で自分がラーメンを食う姿を想像してしまった。ラーメン食いてぇえぇえ!!!)。

できれば「頑張ってダイエットしてます!」みたいなのは誰にもバレたくなかった。あんなツイートで10キロ痩せることになったなんて絶対にバレたくなかった(恥ずいから)。
実際バレないようにしていたつもりでもあった。なのに、後輩ちゃんに突然「先輩、ダイエットしてますよね?」と言われて、思わず「なんでツイートのこと知ってん!?」と言ってしまったのだ。後輩ちゃんは「ツイート?」と、あんなツイートで10キロ痩せることになったことは知らなかった様子……。
事情を説明せざるを得なくなり、出来るだけ内情は伏せて話をした……(このエッセイブログのことは後輩ちゃんには秘密にしてある)。

すると、
後輩ちゃん「えー、1リツートごとに1g痩せるって呟いて1万リツイートされて10キロ痩せなきゃとか……ウケますね、ハハ!」

「しばくぞコラ」

と、心の中で思ったり思わなかったりしながらも、なぜ私がダイエットしたことに気がついたのか聞く。と、後輩ちゃんは、私の“ある様子”を見てピンときたそうだ。

後輩ちゃん「この間、ランチ一緒に行った時、唐揚げ定食を馬鹿みたいに食べてたじゃないですか? あれ見てピンときたんです」

ん? 待て待て、馬鹿みたいに食べてた様子を見てダイエットに気付いたっておかしくないか?
先輩に向かって馬鹿みたいはおかしくないか? しばくぞ?

後輩ちゃん「あれって、16時間ファスティングですよね?」 

……マジか。なぜわかった。ナニモノだこの子……!
まさか……伊藤なのか!? エスパーなのか!?(伊藤は実際にはエスパーではない) 

後輩ちゃん「あ、今なぜわかったとか思ったんじゃないですか?」

伊藤!!!!(繰り返すが伊藤は実際にはエスパーではない)

後輩ちゃん「16時間ファスティングって、16時間以内なら何食べてもいいと思って、つい爆食いしちゃいますよねー。あの時はちょっと引いた目で見ちゃってすみませんでした。ファスティングやってるって知らなかったから『うわーやばこの人、キモ』とか思っちゃったんです。引いた目で見ちゃってほんとすみませんでした」

引いた目で見ちゃったことを謝る前に、先輩に向かってキモと思ったことを謝っていただきたいがそれはまあそれとして。なるほど、自分も16時間ファスティングの経験者だからわかったと、そういうことか。

後輩ちゃん「8時間の間なら何食べても良いとか言うけど、食べすぎると結局太るんですよねー。あれ罠すぎるんですよー。所詮16時間ファスティングなんてダイエットもどきです。結局軽くはカロリーコントロールしないと痩せないですから」

ダイエットもどきはちょっと言いすぎではないだろうか、と思うが、実際16時間ファスティングで痩せなかった私にとっては耳が痛い……。ていうかこの子……もしかしてダイエット詳しい?
どうせツイートのことはバレたんだし、なんとかしないと連載打ち切りになる……。
ここは背に腹は変えられまい!私は後輩ちゃんの腕をガッと掴んで言った。

「助けてください! 伊藤!!」

後輩ちゃん「……私、伊藤って名前じゃないですけど……」

と言うわけで、救世主エスパー伊藤ちゃんにダイエット指南をうけることになった(本当は伊藤って苗字じゃないけどもうめんどくさいから、この子はこのエッセイの中では伊藤と呼ぶことに決めた)。

エスパー伊藤ちゃんは言う。
「手っ取り早く、短期間で結果を出すなら糖質をカットすること、ですかねー」。

「糖質制限ってやつっすか?」と私が聞くと、伊藤ちゃんは食い気味に
「糖質制限ではないです!!」と。

制限ではなく、とっちゃダメです、炭水化物は取っちゃダメ! 0にする勢いでやらないと! 糖質制限なんて言葉はまやかしです! ダイエットもどきです! あんたのただカロリー落としてるだけです」

ご飯の量少なくするとかじゃダメらしい。オートミールもダメだと言う。
それどころか
伊藤ちゃん「かぼちゃもダメです」
かぼちゃは野菜なのに!?
伊藤ちゃん「え? あんなの糖質のかたまりですよ? そんなことも知らないんですか?」
なんかすみません……。
伊藤ちゃん「レンコンも、ごぼうも、人参もダメです」
「……え? じゃあもうキャベツ食っとけってことすか?」
伊藤ちゃん「いや、私ならキャベツも取り入れないです」

…………

と、私が絶望の淵に立たされたその時、上司から呼び出され、話を中断せざるを得なくなった。
伊藤ちゃんは慌てて上司の元へ向かう前に、最後にこう言い残した。

「とにかく何か食べ物を買うときに成分表記を見てください! お弁当とかの値段とか貼ってあるシールに大抵書いてありますから。それ見て、糖質が10g以下のものを必ず選んでください。じゃないとケト──」

と言いかけたところで、エスパー伊藤ちゃんが上司に再度呼び出される。慌てて上司の元へ向かう伊藤ちゃん。その日はそこから仕事でばたつき、結局伊藤ちゃんとそれ以上は話せなかった。

その日の夜。
私はコンビニのお弁当コーナーで立ち尽くした。
エスパー伊藤ちゃんに言われた通り成分表確認。
成分表はお弁当の裏に貼ってあることが多く、お弁当を傾けないように成分表を見るのに苦労する。そんな苦労をして見た成分表には、どれもこれもたいてい糖質が10g以上入っている……。

結局……
サラダチキン、きのこのサラダ、イカ。
こんなメニューになってしまった。

そして土曜日、日曜日と、もはや何を食べていいのかもわからず、同じものを食べてみた。
で、月曜日の朝。

今……、目の前にはオートミールがある。まずい。正直まずい。

もう、辛すぎて泣きそうなのだ!
糖質を0にすることが辛すぎる……!
正直キッッッッツイ!!! オートミールすら食べられない現実が耐えられなくて、とりあえずオートミールを目の前に出して、眺めてみているのだ……っ!

あー。食いてぇ……。
オートミール食いてぇ……!

自動美流(オート・ミール)「俺を、悪者にしないでよ」

すると、私の後ろから、自動美流(オート・ミール)の声が聞こえた(気がしただけ)。

彼は、私を優しく抱きしめ……
そして、こう呟いた。

 

えー。やだー、なんかエロい(1話からの累計3回目)。

…………

あー

うん!!

もー、いいや!!

食べよ。もうやめよ!! こんなの辛すぎるわ!

そして、私は……

 

ダイエットをやめた。

 

ダイエットをやめて2週間。私はフツーーーに生活をした。
Y編集には丁寧に事情を説明。一旦休載と言う形を取ることになった。
そもそもダイエットってこんな辛い思いをしてやらないといけないことなのか? そこまでしてやる価値があるものなのか?
この2週間、体重は一切変わっていない。10キロ痩せると言い出してから一切変わっていない。けど、私はそこそこ幸せだ。そこそこやりがいのある仕事をして、同僚や友達と笑って過ごす。ダイエットをやめたからって、痩せないからって、私の幸せにはなんら影響はないのだ!

まあとはいえ、ちょっと気にしてしまうのが私の弱いところと言うか、なんというか。
チョコ食べたい……と思ったところをやめて、グミにしてみたり。唐揚げ……をやめて、焼き鳥にしてみたり。まあ、きもーーーちカロリー的なことを気にしてはいる。けど、普通に食べたい!! って思った時は全く我慢せず唐揚げもチョコも食べる。

ま! そんな生活で体重が減るわけもない。
だって今までと対して変わらない生活をしてるんだから。
10キロ痩せると言い出した体重、そのまま。

…………

ん?

この時、私はあることに気がついた。

「私……この2週間、太ってない……?」

これが、この気づきが、
私を少しだけ変える、
きっかけになったのだ。

10キロ痩せるまで、あと10キロ──

 

“知識”を身につけた未来のわたしから一言二言

太ってはない。

この気づきが、めちゃくちゃ大事なんです!

自分はこの食事で、この生活で、太らない。
そんな己を知る。
次にどうするのか……は次回に話すとして。

ここでは、今回出てきた“糖質制限”についてお話しさせてください。
この時、エスパー伊藤ちゃんが教えてくれたダイエット法はケトジェニックダイエット
もちろんこの時の私のやり方は失敗している。

ケトジェニックとは……
摂取する糖質を極端に制限し(1日約50g以下)、脂質をしっかり摂取することで、普段人間は糖質をエネルギーにしているところを、脂質をエネルギーにするように変え、脂肪燃焼を促していくというダイエット法だ。

つまり、糖質を制限する代わりに脂質はしっかりと摂取しなければいけない(私の失敗は脂質を取らなかったこと)。
「脂質取れるなら唐揚げとか食えんじゃね?」
とお思いの方もいるかもしれないが、そうはいかない。脂質も“良質な脂質”を選ぶ必要がある。

いや良質な脂質てなんですのん??

と、ハテナが浮かんでいる人も多くいるだろう。それを詳しく説明し出すとますますハテナが浮かびまくる可能性があるので、ここでは一旦やめておきます。知りたい人は「 ケトジェニックダイエット」でググってみてください。

何が言いたいかというと、

ケトジェニックダイエットはめっちゃ難しい!!!

と言うこと。確かに短期間で結果が出やすいのは事実です。でも! 食べるものもかなり限られる。ある程度知識がないと失敗する可能性もある。
結果は出る。が難しい。いわばダイエット上級者用テクニックなのです。

ただ、この難しいケトジェニックダイエット。そもそも炭水化物(ご飯とか麺とかパンとか)が好きではない人、お肉とかの方が好きな人にはとても向いている。そう言う人にはぜひチャレンジしてもらいたい。

でも、私のように「白米大好きー!!」って人も多いのではないだろうか。やはりそう言う人にとっては、ケトは辛いし、難しいし……。そんな人はダイエットできないってことなのか。

そんなことはない!! そんなことは一切ありません!!
実際私は、白米を食べながらダイエットができた。
ハッキリと!! ここだけはハッキリしっかり声を大にして言いたい。

白米を食べたら太る、鶏胸肉とブロッコリーしか食べちゃダメらしい。
全部誤解ですっ!!
究極、唐揚げを食べながらだって、ポテチを食べながらだってダイエットはできる!!

糖質を摂っても太らない。
白米を食べても太らない。

そして、

サラダチキンでも太る!
オートミールでも太る!

要は、食べ過ぎればサラダチキンも白米もオートミールもパスタもカボチャも人参も、なんでも太るんです!

「えー、そんなこと言ったって、糖質って太るって言うじゃーーん! 信じられないよ」

と思った読者様。その呪いを私は解きたいですっ。
これから私が書く文章で、その呪いが解けて、あなたのダイエットが成功したら、私はとても嬉しい。

(第6話につづく……2023年10月10日公開予定)

作者/【体脂肪率3%の脚本家】の保木本真也
『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)『事件』(WOWOW)など
ベストボディジャパン2023松山大会 モデルジャパン部門ミドルクラス グランプリ

イラスト/藍沢みお


Written by 保木本真也

「日本一の脚本家」にはどうひっくり返ってもなれなそうなので、「日本一イイカラダをした脚本家」を目指す、日本で最も間違えた方向をひた走る脚本家。
コンテスト出場時は体脂肪率を3%にまで下げ、仕事のクオリティを下げたり下げなかったりするので、今、「日本一間違えた脚本家」であることは言うまでもない。
※体脂肪率は体成分分析装置InBodyによる測定。
X(旧Twitter) @HOKKII

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