【ダイエットの落とし穴】レコーディングダイエットを試みた女の末路
TwitterがXに変更した流れ玉で、連載タイトルも「1リツイート」から、「1リポスト」に変更。
全然しっくりこないけど、「読めば痩せる!?」笑えるダイエットストーリー第8話。
《第08話》「最も有効!? レコーディングダイエットを試みた女の末路」
ダメだ、これはダルい。
今こなしている仕事がだる過ぎる。
仕事を詳しく説明するのは長くなるので控えるが、ごくごく簡単に説明すると、一つ一つ事細かに調べて、その数値を事細かに入力していくという作業。
難しくはない楽な作業だが、それを通常業務と並行して行わなければならない。
簡単な作業だがダルい! どれくらいダルいかというと、通常の仕事をしながら「毎日1000個ドミノを並べろ」と言われているくらいダルい。
と、そこにすぐ仕事を振ってくる女上司(第4話参照。嫌いな上司ランキング1位)が、自席で仕事をしている私近寄ってきた……。
おいおい、勘弁してくれ! これ以上何か仕事振られたら地獄だぞ! そもそもこの仕事だってあんたが振ってきた仕事なんだぞ。
でも嫌そうな顔だけは厳禁だ。上司という生き物はその顔が大好物なのだから。
その顔をしていればしているほど、嫌な仕事を振ってくる生き物なのだから。
私はこのダルい仕事を楽しんでしているふりをした。
笑顔で、気持ちよく、「私この仕事嫌がってませんよー」って顔をしながら仕事をした。まるで一年生野球部員が玉拾いをするかのごとく。レギュラーの座を早く得るために「玉拾いだってやる気あります!」みたいな顔をしながら、
そんな顔をしながら私は思った!!
女上司「ごめん。それ終わったら楽な仕事回すから」
…………
ん?
女上司「いや、それ終わったら楽な仕事回すから。頑張ってくれたら助かる」
私「……わかりました。ありがとうございます。がんばります」
……なんだか、意外な展開……。
一年生だからって玉拾いやらなくていいよって先輩に言われた野球部員くらいの驚きと軽い喜び。
いや、引き続きあんまり好きではないけどさ。うん。でもなんか、
ちょっとやる気出た。
これが終われば楽な仕事が回ってくると思うと俄然やる気が出た。
よし! 真面目に頑張りますか!!
と、少々ダルい仕事を頑張ることにした私。一つ一つ事細かに調べて、その数値を事細かに入力していく。そんな作業をしながらふと思った。この仕事、何かに似てる……。
あ、今やってるレコーディングダイエットだ。
レコーディングダイエットとは……
食べたもの、飲んだもの、を食事はもちろん完食も含めて、口にしたものを全て記録を取っていく。そして、そのカロリーを計算して、1日どのくらいの摂取カロリーなのかを把握するダイエット法だ(カロリー計算は、レコーディングダイエット用のアプリがあるから、それがある程度教えてくれる)。
「おいおい〇〇ダイエットはもうやめたんじゃねーのかよー!」
と読者様はお思いかもしれない。
でもこれは「選ぶものを変える大作戦!(6・7話参照)」の一環なのだ!
(もちろん〇〇ダイエットも楽そうであればこれからも手を出しますがね!!)
私はだれだけ痩せたかろうがなんだろうが「無理なものは無理! しんどいからやらない!」をモットーに痩せてやろうと決めている。
そんな中で見つけた「選ぶものを変える大作戦!」
この作戦が功を奏して、10キロ痩せると言い出してから現時点でマイナス2キロのところまできている。
正直いい感じだ。
でも、少し前に問題が起きた。
糖質まみれの食べ物を目の前に、食べるのが怖くなったのだ(7話)。
太りも痩せもしないカロリー(メンテナンスカロリー)に収まっていれば、糖質を食べても大丈夫だということは理解はしている。
でも、「糖質は太る、糖質は太る!! 糖質は太る!!!!」
と、世間が声を大にして言ってくるもんだから、本当にそれを食べても大丈夫なのか不安でたまらなくなったのだ。
「え、本当に今日の摂取カロリー、メンテナンスカロリーに収まってる? 収まってるよね? え、でも……こーわ! 食べんのこーわ!」と、思ったのだ。
食べられるのに、食べるのが怖い、って言うのもしんどくないか?
私のモットーは「しんどいダイエットはしねー!」なんだから。
こーわ!って思うのもしんどいわけで。じゃあしんどくないために、遠慮なく食べれるためにどうすればいいか。
それを後輩の伊藤ちゃんに相談したところ、お薦めされたのがこのレコーディングダイエット。
自分の口にするものを全てレコーディングアプリにメモる。メモっていれば、その日、自分があとどれくらい食べていいかわかるから怖くなくなるはず、と。が……これがまあまあダルい。
いちいち何を食べたかをメモらないといけないというのは、普通に生きているだけでもダルいことなんていっぱいあるのに、さらにダルいことを増やすわけで。
でもダルさと怖さ、どっちを天秤にかけるかと言われると……
まあここ最近いい感じに体重減ってきてるし、もうちょっと結果も欲しいし。と、やる気モードに入っていたこともあって、今のところレコーディングを実践出来ている。レコーディングを始めてから、摂取カロリーを楽に減らす方法がないか、何なら差し引いてもいいか考えるいい機会にもなっている。
そして、一番差し引くべきは、取らなくていい“私にいらない脂質”なんじゃないかと思っている。
知ってました? 脂質って1gにつき9キロカロリーあるんですって。
太る太ると言われている糖質は、1gにつき4キロカロリー。
だから、脂質が低めのものを選ぶと摂取カロリーを下げやすい。
え、じゃあ脂質抑えるほうがいいじゃん!
と、思った私は「私にいらない脂質」を減らそうと試みた。
あ、チョコとか、たまに食べたい唐揚げとか、そういうのの脂質は「私にはいる脂質!」とカテゴリーしてます。じゃあ「私にいらない脂質」ってなんなん?
それは、「私がこの脂質はなくても全然平気!」と思った脂質だ。
例えば、野菜炒めなんかを作る時のサラダ油。
これは私に取ってはあってもなくてもいい油。でもフライパンにくっつくのが嫌だから油を引いていた。これをカットできないかと考えてみたのだ。
そこで見つけたのが、これ!!
シリコンホイル!
スーパーとかなら大抵売っている、いわゆる“くっつかないホイル”だ。
私は、何故だかこのホイルを「魚を焼く用」と思い込んでいた。
でもなんと!! 普通に炒め物とかにも使えるんです!! すごくない!?(いや一般常識なのかもだけど)
野菜炒めでも焼きそばでも、油を引かずにこれをフライパンに敷いて、いつも通り調理すれば良い。ただそれだけで余計な油をカットできる。食材がベタベタとこべりつくことも一切ない。
しかも何がいいって、洗い物が超絶楽! フライパンがほとんど汚れていないことが多いのでさっと水洗いするだけ! 超便利!
私はもう君なしでは料理できないよ〜!
尻昆(シリコン) 穂偉琉(ホイル)
ツンツンしちゃってーーー!!
ほんとは私のこと好きなくせに〜〜!!!(うざ)
(あ、ついに食材ではないものを擬人化してしまった。いや、もはやこれはダイエットを楽しむための妄想擬人化なのであって、食材にこだわる必要はない。ダイエットに役立つものを擬人化するってことでいいのだ。いや別にだれが決めたルールでもないから、私が決めたルールなんだからなんでもいいんだけど)
あ、ちなみに私はクックパーさんのシリコンホイルが一番使いやすくて便利なので使っている。大きいタイプ(30cmの)と小さいタイプ(25cmの)をフライパンのサイズに合わせて使い分けている。(クックパーの回し者ではない)
他にも、“私にいらない脂質”を探すのに最近ハマっている。
例えば、鶏肉。もも肉を胸肉に……は、全部は無理。だって胸肉が美味しい料理もあれば、もも肉が美味しい料理もあるから。
でも私は、皮はそこまで好きじゃないから胸肉ももも肉も、皮ははぐようにしている(皮は脂質多め)。
これはもう好みもあると思う。皮が好きな人は皮食べればいいと思う。
その代わり、他の『あなたの“いらない脂質”』を見つけて、それをカットすればいいわけで。
レコーディングの一番いいところは、食べたいもの(チョコとかアイスとか)を食べても、カロリーを把握してたら、その他で調整することが出来ることだと思うんです!
でね、最近思ったのは『知識さえあれば、無理しなくても、しんどくなくても、痩せられるんじゃないだろうか?』ってこと!
要は摂取カロリーがメンテナンスカロリーを下回ればいいんでしょ?
下回るしんどくない方法を自分で探していけば良いんじゃん! ってことなんですよ。
お!なんか私今いいこといった気がするぞ!
私は、
私用の、
自分がきつくない方法
をこれからも探していこう!
ただ……やっぱり食べたもの全部メモするのはダルいなー。だって野菜炒め作るのにも、お肉のグラム測って、野菜のグラム測って、ってもうマジでダルい。
でもなー。せっかく痩せてきてるしなー。
ここで不真面目にやったらまた元に戻っちゃうのも嫌だしなー。
そう思いつつ、それから10日間、例のだるい仕事をしながら、ダルいレコーディングも頑張ったわけで。でもこれは私の性格なのかなんなのかわからないが、妙にイライラすることもあった。
例えば、カロリーがわからないとき。外食するとグラムがはっきりしないから曖昧にしかレコーディングできないし、会社の人が差し入れてくれた個包装のお菓子とかカロリー書いてないことが多いから正しくレコーディングできないし。その度に、ちょいイラが募っていった。
まあこのイライラも、全ては結果に結びつけるため。
きっとどんどん痩せていくんだろうなー! だって前よりもさらに真面目にやってるんだものー!
なのに!!!!!!
なのにですよ!!!!!!!!!!
この10日間で体重の増減なしっ!!!!!!!!
いやいやいや、なんで?
超まじめにやってたんですけど?
と、朝から困惑していたら、社用のスマホにメッセージがきた。
女上司「例の件、お疲れ様でした。今日から楽な方の仕事回します。通常業務に加えて、今日からそちらをお願いします」
……
通常業務に加えて?
……
10キロ痩せるまで、あと8キロ──
“知識”を身につけた未来のわたしから一言二言
「ツイッター」が「X」と言う(現時点では)馴染みのない言葉に変わってしまい、
「リツイート」が「リポスト」というこれまた馴染みのない言葉に変わってしまい、
このウェブエッセイのタイトルも「1リポストごと1g痩せるって言っちゃった女の末路」に変化せざるを得なくなってしまった今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、この、不真面目にやってた時の方が痩せてたのに、
結果が出てきて、真面目にやり出すと体重が停滞する。
これもはや、ダイエットあるあるです。(なんだこの悲しいあるある!!)
一番初めにハッキリ言えることは、
レコーディングはダイエットに最も有効な手段と言える。
ということ。
おいおい、失敗しといて何をいうとるんじゃ、とお思いの方もいると思います。
でも、
「レコーディングやっときゃ、太ることもリバウンドすることも、まずないでしょ!」
ってくらい有効だと、私は思っています。
なぜそう言えるのか、私の失敗も併せて少し解説します。
まずレコーディングをする際、2つの道に分かれると私は思っている。
① 詳細にズレを少なくレコーディングする(上級者、期限のあるダイエットをしてる人向け)。
あるいは
② 大雑把になんとなくレコーディングする(簡単。体重維持、または期限のないダイエットをしてる人向け)。
どちらも有効な手段です。
でも①はすごくダルい!
いちいち食べるものをグラムを測って、誤差をなるべく少なくする必要がある。お米なんて炊く時の水分量によって炊き上がりのグラムなんて全然違うから、厳密にするためには炊く前のグラムから計算する必要がある。コンビニ弁当は栄養成分が表示されているが、実はあれには誤差が認められていて、許容差の範囲は表示値の±20%だったりで正確ではないし……とかもうとにかく色々ダルい!!
そして、この時の私がなぜ失敗したのか、それはあんまりよくわかってないのに①に近いことをしていたから、なんです。
①の何が難しいか。それは、厳密にしている分、自分で色々とコントロールしないといけないから。
コントロールしないと、停滞の原因にもなってしまうんです。
人間の身体は一定に保とうとする力がすごく強い(これホメオスタシスって言うんですが、説明すると長いので気になる方はググってみてくださいませ)。
要は、人間は停滞しようと必死なんです。だからカロリーが少ない状況が続くと、少なくても生きられるように身体が勝手にカロリー消費を落とす。
だから、少ないカロリーでずっといると、停滞しちゃう。
これを防ぐために、時には多めにカロリーを摂ったり、時には脂質を多くしてみたり、色々と変化をつける必要がある(車でいうマニュアル車みたいなものかな)。
もう聞いてるだけでダルくないですか?
確かにマニュアルでやってる分、ちゃんとやれば効果はあるんです。ダルいけど。
じゃあ②はどう言うことなのか?
大雑把にやってる分、勝手にカロリーが多い日と少ない日ができるんです。
大雑把な分、勝手に変化がつくんです。もちろん大雑把にやってるから、効果はマニュアルでやるよりも薄い。でも圧倒的に楽!!
じゃあここで疑問が生まれるとしたら「大雑把なんだったらレコーディングなんてやらなくて良くない?」と言うことだと思う。
確かにレコーディングしなくても痩せていってるならやる必要はない。
けど、大雑把なレコーディングの何がいいかというと、
【大きく食べ過ぎることを防ぐことができる】ことと【食べられるのに食べるの怖い】を防ぐことができること。
この2つのメリットが大きいから、②がとっても有効なんです。
つまり②の場合、レコーディングはあくまで目安程度のもの。
そもそも1日単位で考える必要はなくて、1週間単位、あるいは一ヶ月単位でメンテナンスカロリーよりも下回っていれば勝手に痩せていきます。
カロリーが多い日があっていい。もちろん少ない日もあっていい。両方あった方がいい。
人間の体には変化が必要。
変化をつけながら、長い目で見てメンテナンスカロリーよりも下回っている、これが重要なんです。
「いつまでに痩せないと」とか「厳密にボディメイクをしてます!」とかじゃないのなら、普通に痩せたいと言うことなら、②をゆるーく長期間やる方が、圧倒的に楽に痩せていくと私は思います。
ダイエットはマラソン。
長く続ける方が楽だし、効果もある。何より【自分用の知識】も溜まっていく。
「自分はこの食事でこの生活で痩せるんだ」あるいは「自分はこの食事でこの生活で体重維持出来るんだ」
この知識は、一生物です。
知識なく「とりあえず糖質ぬこー糖質抜いたら痩せるんでしょー、ランニングしたら痩せるんでしょー」なんて言うのは、武器を持たずに戦場に飛び込むようなもの。
無理する必要なんてない。いかに楽に自分用の知識を見つけられるか、
それを探す作業が“ダイエット”ってやつなんじゃないでしょうか(お! なんか私今いいこといった気がするぞ!)。
もし読者様の中で「レコーディングをしているのに結果が出ない!」と言う人は、そもそもの設定カロリーが高過ぎるか、いくらなんでもメモが大雑把過ぎるか、あるいは厳密すぎるか、このいずれかだと思います。「レコーディング」に挑戦している人は、それらを踏まえて見直してみてください。
ちなみに、レコーディングアプリはいろんなものがあります。
例えば
「あすけん」(https://www.asken.jp/)
や
「マイフィットネスパル」(https://www.myfitnesspal.com/ja)
なんかがおすすめです(2社の回し者ではない)。
ちなみに私は「あすけん」さんを利用させていただいています。
簡単に入力できるしおすすめですよ〜!(回し者ではない)
(第9話につづく……2023年11月27日公開予定)
今回、勝手に擬人化したダイエットアイテム
尻昆 穂偉琉(シリコンホイル)
属性……タレ目ぎみ。物静か。季節で言うと冬。銀髪。色白。指長い。感情の起伏が少ない。一人が好き。一人で大体なんでもできちゃう。でも人に興味がないと言うわけではない。“人”という存在がよくわからないだけ。でも知ろうともしていない。うるさいのは苦手。自分のパーソナルスペースを脅かしてくる人は苦手。寒がり。相手にも何も聞かないし、自分のことも話そうとはしない。唯一、猫を見ているのは好きらしい(飼おうとは思わないらしい)。
作者/【体脂肪率3%の脚本家】の保木本真也
『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)『事件』(WOWOW)など
ベストボディジャパン2023松山大会 モデルジャパン部門ミドルクラス グランプリ
イラスト/藍沢みお、津和野諒
あすけんさんの回し者の編集Yからお知らせ★
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著:あすけん栄養士 道江美貴子