【猫の気持ちクイズ4】猫におすすめの食器のタイプは?



あなたは愛猫の気持ちが正しくわかりますか?

猫の気持ち・病気のこと・普段の暮らしのこと…あらゆる猫の「わからん!」に、獣医師であり、研究者であり、猫の飼い主(げぼく)でもあるにゃんとす先生が答えます!

2匹の猫と暮らすイラストレーター・オキエイコさんの漫画とともに、お楽しみください!


 

(問題)猫におすすめの食器のタイプは?

A. 口が広いもの
B. 背が高いもの

猫のひげは高感度のセンサー。
猫が食べたり飲んだりする時に、ひげが食器の側面に触れて不快感を覚えることを指す、「ひげストレス」や「ひげ疲れ」という言葉もあるほどです。
でも、これって根拠があるのでしょうか…?

問題の答えは…



(答え)B. 背が高いもの

 にゃんとす先生の解説

食器選びは猫に選択肢を与えてあげよう

猫のひげストレスに関するある研究では、38匹の猫を対象に実験を行いました。
まず、普段使用している食器でドライフードを食べる様子を撮影し、12時間後に、ひげに優しい平皿でドライフードを与え、同じように食事の様子を観察しました。

その結果、食事に費やす時間や食べたフードの量などに有意な差は観察されなかったようです。
一方、いつもの食器とひげに優しい平皿を並べて与えた場合は、一部の猫で平皿を好んだ傾向があったようですが、これは単にいつもと違う食器に興味を示しただけの可能性があり、猫にひげストレスが存在する明確な証拠は得られなかったと結論づけています。

このような結果を踏まえると、猫の食器を選ぶ際にひげが当たるかどうかは、じつはあまり重要ではないのかもしれません。
たしかに猫のひげは非常に感度の良いセンサーの役割を果たしていますが、ひげが食器に触れる感覚は、必ずしも不快な感覚ではないのでしょう(飼い主さんのコップに顔をむぎゅっと入れて水を飲む猫ちゃんもいるようですしね笑)。
ただし、今回の研究では高齢の猫も多く含まれており、既にひげが触れる食器に慣れていた可能性もあり、今後も研究を続ける必要があると著者らは述べていました。

食器選びの際に注目するポイントは他にもあります。意外と見落としがちですが、食器の背の高さも重要です。
特に高齢の猫ちゃんは程度の差はあれど、ほとんどの猫が関節炎を持っているため、頭をさげてかがむ姿勢は負担がかかってしまいます。
また、かがむ姿勢は食道が折れ曲がって腹部が圧迫されるので、吐き戻しやすくなってしまいます。

そこで、食器を高くするだけで高齢の猫ちゃんがよくごはんを食べるようになったり、早食いの猫ちゃんの食後の吐き戻しが改善したりすることがあります。

食器の材質も様々ですが、プラスチック製のものは傷が入りやすく、雑菌が繁殖しやすいため、猫ニキビ(ざそう)の原因になることがあるので注意が必要です。
陶器製や磁器製のものは傷が入りにくく、清潔に保つことができます。

いずれにしても大事なことは、猫ちゃんに選択肢を与えてあげることだと思います。
もし、今の食器を嫌がったり、ごはんを床に落として食べたりして悩んでいる場合は、いろんな食器を並べてどの食器を一番好むか、検証してみると良いでしょう。

漫画・イラスト/オキエイコ

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著:獣医にゃんとす
漫画:オキエイコ

獣医にゃんとす

国立大学獣医学科を卒業後、臨床経験を重ねつつ、獣医学博士を取得。現在は、とある研究所の研究員として、難治性疾患の基礎研究に従事。SNSでは猫の健康や生活、病気に関するテーマを中心に発信している。著書に『獣医にゃんとすの猫をもっと幸せにする「げぼく」の教科書』(二見書房)がある。
X(旧Twitter) @nyantostos
Instagram @nyantostos
ブログ「げぼくの教科書」 https://nyantos.com/

オキエイコ

イラストレーター。「猫を残して死ねない問題」をライフワークにし、ねこヘルプ手帳を考案。株式会社nancoco 代表。著書に、保護猫エッセイ『ねこ活はじめました』(KADOKAWA)などがある。
X(旧Twitter) @oki_soroe