【猫の気持ちクイズ6】猫の“ゴロゴロ音”の意味は?
あなたは愛猫の気持ちが正しくわかりますか?
猫の気持ち・病気のこと・普段の暮らしのこと…あらゆる猫の「わからん!」に、獣医師であり、研究者であり、猫の飼い主(げぼく)でもあるにゃんとす先生が答えます!
2匹の猫と暮らすイラストレーター・オキエイコさんの漫画とともに、お楽しみください!
(問題)猫の“ゴロゴロ音”の意味は?
A. 「もっと撫でて~」
B. 「お腹すいたよ~」
猫が「ゴロゴロ」とのどを鳴らす音は、気持ち良さそうなイメージで聞くだけで癒やされますが、じつはこの音に隠された猫の気持ちは1つではありません。
問題の答えは…
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(答え)A.「もっと撫でて~」、B.「お腹すいたよ~」どっちも正解!
にゃんとす先生の解説
もっと甘えたい気持ちを伝える、幸せのゴロゴロ音
猫好きなら誰もが心地良く感じる、ゴロゴロ音。
もともと、のどのゴロゴロ音は子猫が母猫からミルクをもらっている時に発する音で、「もっと甘えたいな」とか「満足だよ」という意味合いで使うものです。
そのため、飼い主さんに対しても同様に「もっと撫でてよ〜」とか「いっぱい撫でてもらって嬉しいな〜」という気持ちを表現していると考えられています。
この時のゴロゴロ音は比較的低音で、〝幸せのゴロゴロ音〟と呼ばれたりもします。
なんとも言えないやわらかい音ですが、実際に2019年の筑波大学の研究で、猫のゴロゴロ音(特に低音のもの)にリラックス効果があることがわかりました。
この実験は、店舗BGMに最適なリラックスできる音源を探す目的で行われており、実験参加者に録音したゴロゴロ音を聞かせたところ、ストレス負荷後の心拍数が低下し、ストレス状態が緩和されたそうです。近い将来、猫のゴロゴロ音を聞きながら買い物をする日がやってくるかもしれません(笑)。
一方で、猫はお腹がすいてごはんを要求する時にもゴロゴロとのどを鳴らします。
面白いことに、この〝空腹のゴロゴロ音〟は幸せのゴロゴロ音とは違って、人間に対する癒やし効果は薄いようです。
というのも、空腹のゴロゴロ音には人間の赤ちゃんの泣き声に似た高周波数の音が混ざっており、人間にとっては急かされているような印象を受けやすいということが実験で明らかになっています。
たしかに、我が家のにゃんちゃんも朝方お腹がすいて起こしてくる時のゴロゴロ音は、ひざの上で撫でられている時よりも高音に聞こえます。
このように猫のゴロゴロ音は、満足感や幸福感、人間へのおねだりなど、基本的にはポジティブな感情表現の1つですが、病気の時や強いストレスや痛みがある時にものどをゴロゴロ鳴らす場合があります。
これには飼い主に助けを求めたり、自分自身を落ち着かせたりする意味があるようです。
そしてこの話をするたびに、入院ケージでひとりゴロゴロのどを鳴らしていた末期のリンパ腫の猫ちゃんを思い出します。
今、私は臨床の現場を離れて研究をしていますが、この悲しいゴロゴロ音を少しでも減らすことができればと、日々ピペットを握りながら細胞とにらめっこしています。
漫画/オキエイコ
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『どっちが正しい? 幸せになるねこ暮らし』
著:獣医にゃんとす
漫画:オキエイコ
獣医にゃんとす
国立大学獣医学科を卒業後、臨床経験を重ねつつ、獣医学博士を取得。現在は、とある研究所の研究員として、難治性疾患の基礎研究に従事。SNSでは猫の健康や生活、病気に関するテーマを中心に発信している。著書に『獣医にゃんとすの猫をもっと幸せにする「げぼく」の教科書』(二見書房)がある。
X(旧Twitter) @nyantostos
Instagram @nyantostos
ブログ「げぼくの教科書」 https://nyantos.com/
オキエイコ
イラストレーター。「猫を残して死ねない問題」をライフワークにし、ねこヘルプ手帳を考案。株式会社nancoco 代表。著書に、保護猫エッセイ『ねこ活はじめました』(KADOKAWA)などがある。
X(旧Twitter) @oki_soroe