「結婚を意識した途端、恋愛がうまくいかなくなるのはなぜ?」雨宮まみさん+栗原康さん対談【後編】


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後編

雨宮まみさん&栗原康さんのトークイベント「はたらかないで、素敵な暮らし⁉」。栗原さんの元婚約者との話題をきっかけに、話の流れは自然と恋愛・結婚の話へ。

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結婚を意識した途端、おかしな方向へ行ってしまうのはなぜ?

雨宮 栗原さんが婚約者とだめになってしまった一連の経緯から、結婚というものを意識した瞬間からおかしなことになっちゃう人が多いんじゃないかという話が出てきました。

最初はただただ相手のことを大切に思っていただけなのに、結婚という形を意識した瞬間から、カップルの役割が生じてしまい、それを演じてしまう。それって、フェミニズムとも関係があると思っていて、結婚して良き夫・良き妻になるということは、相手のために何かを犠牲にするという考え方が刷り込まれてしまっているんじゃないか。恋愛だったらうまくいっていたことが急にうまくいかなくなることが、割と多いのではないかと。

栗原 やっぱり恋愛のときのほうが自由なんですよね。結婚を意識し始めると、人が交換可能な役割にすげ替えられてしまう。男はこうあるもの、女はこうあるものと社会的なイメージができてしまっているので、それを前提に付き合いはじめると、“ただただ好きだ”というのが本当は当たり前なのに、そうではなく、“付き合うと自分にとってメリットがあるから付き合う。ここはデメリットになるから付き合わない”という意識になっていってしまう。

実はぼく自身、当時はその考えに引きずられていていました。この子と結婚したら、自分にとっての利益ってなんだろう? って。少し考えてすぐにやめましたけど。

雨宮 本の中では、ちょくちょく「モテたい」という話が出てくるんですけど、そのときの栗原さんとしては、純然たる愛し合える女性が欲しいという気持ちで、特にメリットについては考えていなかったんですか? わたしは、「モテたいモテたい」って言っていた頃、モテたいと言いつつもできれば誰でもいいわけじゃなくて、それなりにお金を持っていてほしい……みたいな気持ちはあったと思うんです。

栗原 はいはいはいはい(笑)。

雨宮 割とあさましい考えがあった。無職でもなんでもいいから愛だけがほしい! ではなく。やっぱり人に紹介して恥ずかしくないような、とか……ちょっとどこかで考えていた気がする。そういうことはなかったですか?

栗原 そうですね。ちょうど付き合い始めた頃は開き直っていたというか、悟りの境地に若干達していたんです。自分よりダメな人はあまりいないだろうと思っていたこともあって、「モテたい」は結構端的なものだったのかもしれません。

雨宮 普通に、心の叫びとしての、「モテたい」。

栗原 そうですね。単純な、モテたい! ちやほやされたい! いいのか悪いのかわからないですけれど、そういう発想でした。

男の身勝手がひどい『源氏物語』

雨宮 はたらかないということが社会の一員として認めてもらえないということとつながるんですけれど、そのほかの面での倫理観も、私はここ2、3年、すごくうるさくなっているなと感じていて。一億総発言小町社会というか。「昔、そんな気にしてなかったよね?」ということが叩かれるようになったり。もちろん気にしなければいい話なんですけど、目に見える範囲でそういうことが起こりやすくなっているなと感じています。

栗原 うん、うん。


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