【前編】柳下恭平さん、出版の未来は明るいって本当ですか?

【前編】柳下恭平さん、出版の未来は明るいって本当ですか?


学生時代を終え、彼が選んだ進路は海外。大学へは進まずに、20代の前半はオーストラリアや中国と各国を転々としながら、そこで学んだり、働いたりしていたという。

images その時期は、いろいろあった…という感じですが(笑)そんな中でも本は読んでいました。古本も新刊もいっぱい買って。日本語の本も見つけて読んでました。最初に英語で読んで、面白いなと思ったら日本語訳の本を読んだり。全然読み応えが違うんですよね。それから、単純に縦組みってよみやすいなとか、日本独特の文庫本の判型って携帯に便利だなとか、日本だけにいたら気づかなかったようなシンプルな発見もありました。

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世界へ出て行った20代前半を終え、日本に戻ってからは活字の世界で校閲・校正の仕事に就いたきっかけとはなんだったのだろう?

images 昔から、言葉は好きだったんですよ。でも、自分が考えていることを言おうとしてもなかなか難しいんです。

例えば、夕日がとても綺麗だった時、悔しいけど僕は『夕日が綺麗』としか言えないんですね。『マトリックス』っていう3部作の映画の一番最後に、登場人物が太陽を見て『美しい』って言うシーンがあるんですけど、『この登場人物は、今本当にこの景色に見とれてるんだろうな』ってことを伝えるためには、3部作になるほどのストーリーが必要だったりするわけですよ。

そういう一言では伝えきれないことを日常の会話の中でうまく言えないものかって、それこそ小学生くらいの頃からずっと思っていて。言葉って本当に使いにくいツールで、例えば“東京”って単語を相手が言ったとして、相手が言ってる東京は台東区かもしれないし、練馬区かもしれない。それぞれ絶対違うはずなんですよね。

でも、僕はそれを純粋に言葉で誤解なく表現することができないかなと思っていたし、言葉を知りたかった。まあ、だからといって小説家になりたいっていうことでもなかったんですけど…。だから、出版業界に入ったのはたまたまなんですよ。人の縁で編集プロダクションに入って、そこで校閲の仕事を知ったら、『こんな面白い仕事あったんだ!』って。

言葉に敏感だからこそ、単語の一つひとつの意味や文法の使い方をチェックする校正・校閲という仕事にたまらない魅力を感じるという柳下さん。校正・校閲の仕事を通して、さらにさまざまな本と出逢うことになる。

images ここまで多読になったのは校正・校閲の仕事をするようになってからですね。校正、校閲のいいところは、自分なら選ばない本も読めるということ。仕事を始めてからは、自分では本屋で買わないだろうジャンルの本を一気に読み始めるようになりました。期せずして読書の幅が広がったんですね。それは案外、書店のほうの仕事に活きているかもしれないです。

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次回はいよいよ本のこと、
出版についてのお話をたっぷりお届けします。
後編は9月13日(火)更新予定!お楽しみに。

 

 

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【PROFILE】
柳下 恭平(やなした・きょうへい)
1976年生まれ。世界を放浪したのち日本で校閲者となる。28歳で鴎来堂を立ち上げ、現場で本と向き合いつづける。会社近くの書店が閉店したのをきっかけに書店事業に参入。2014年末、神楽坂に「かもめブックス」をオープンし、店主として店に立つ。15年10月、誰もが書店を開けるようにするための流通サービス「ことりつぎ」の事業を始動する。

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