【緊急時に心を落ち着ける】予約の取れない鍼灸師が教える、覚えておきたいツボ・ストレッチ3選
30日朝、ロシアのカムチャツカ半島で発生した地震により、日本の沿岸沿いを中心に津波警報・注意報が発表されました。高台へ避難された方も多く、急な災害に強い不安感を覚えた方も多いのではないでしょうか。
埼玉と東京で訪問治療を行う鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の森田遼介先生は、書籍やテレビ、SNSを通じて自律神経の整え方や不調との向き合い方を発信されています。
ここでは、森田遼介先生によるロングセラー『自律神経にいいこと大全100』より、緊急時に覚えておきたい、心を落ち着けるセルフケアをお届けします。
※本記事は、森田遼介:著『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
緊急時におすすめのツボ「内関」
自律神経を整えるために、まず知ってほしいのが「自分にあったツボ」を見つけること。
現在、WHO(世界保健機関)で公認されているツボの数は361種類あり、左右に一対ずつ存在するツボも合わせると全部で700個あります。
同じ症状でも、その時の状態や季節によって適切なツボが変わることも珍しくありません。ひとつだけでも自分に合うツボを見つけていきましょう。
心を落ち着かせるお守りツボ「内関」
急な災害に見舞われると心の準備ができないため、パニックになってしまうという方は多いようです。心臓がドキドキしたり強い不安感に襲われそうになりますよね。似たような精神状態は、運動直後や急な不安に襲われた時、仕事や家事で働き過ぎてしまった時、イライラしている時にも起こります。
そんな時に備えて、心を落ち着かせるお守りツボの「内関」を覚えておきましょう。内関は車酔いや二日酔いにも効くツボです。
探し方は、手のひら側の手首の横ジワ中央から肘に向かって指3本分(人差し指から薬指の幅)のところ。手を握って力を入れると浮き上がってくる腱のすぐ親指側で圧痛点を探します。
腱が浮き出てこない人は、指でコリコリと腱を探ってみましょう。2本の並列した腱があるので、その間にとります。押し方は、腱と腱が並列している細い間にあるため、親指を斜めにして、指先の側面を使って押しましょう。痛気持ちいい強さで押しながら、吐く息を長く2~3回深呼吸をすると精神が落ち着くはずですよ。
急なパニック発作にグーパー運動
急にパニックになったり、動悸や不安感に襲われて心が乱れた時には、「グーパー運動」をしてください。手をグー、パーと力を入れずに閉じたり開いたりする動作を1分間続けるだけです。グーパー運動には、血管内に一酸化炭素を放出し、血管が拡張されることで心身を落ち着かせる効果があります。
また、パニック時には、息を長く吐くことも効果的です。息を吐くと副交感神経が優位に働き、血管が拡張されて一酸化炭素が血管内に増加します。この時、大きく鼻から吸って口から吐くことがポイントです。
横隔膜の周りには副交感神経が密集していますが、横隔膜を動かすことで、副交感神経が刺激されて血圧が下がり、不整脈を防ぎながら血管を拡張してくれるので、心を落ち着ける養生になります。
災害時など予測できない急なトラブルに備え、落ち着く手段を身につけておくことは、命の危険を回避することにもつながります。
不安なニュースで心が乱れた時は
日常の中でふと衝撃的な映像や情報を目にした時、自律神経が乱れている人ほど不調が起こりやすくなります。特にネガティブな内容はメンタルに強く影響しますので、不調のある時は極力テレビやスマホを見ないように気をつけましょう。
そんな中、不安なニュースで心が乱れてしまった時は、「期門(きもん)」を伸ばすストレッチを行いましょう。期門はストレスに関係の深い「肝経(かんけい)」というツボとツボを結ぶ経絡(けいらく)にあるツボで、乳頭下の肋骨付近に位置します。
ストレッチのやり方は、両手を組んで上に伸ばし、深呼吸を3回ほど行うだけです。これを数回くり返しましょう。
自律神経が乱れて余裕がなくなると、伸びをする動作が少なくなります。朝起きた時や、閉鎖的なところから開放的な場所へ出た瞬間に思わず伸びをしたり、少し疲れた時に体をグーっと伸ばした経験は誰もがあるはずです。
このような体が無意識に行う動作は体に良いことなので、最近伸びをしていないなと思った人も、久しぶりに意識して体を伸ばしてみましょう。きっと気持ちがいいはずですよ。気持ちがいいということは、これもまた体に良いというサインになります。
また脇には、肝経と関わりの深い「胆経(たんけい)」という経絡が走っています。両手を上に伸ばしたついでに、そこから横に倒して脇のストレッチも行いましょう。脇の気血(きけつ)の巡りを改善することもメンタルに良い養生となります。
『自律神経にいいこと大全100』ではこのほかにも、「原因不明のイライラ」「生理・更年期の不調」「なかなか取れない疲れ」「睡眠トラブル」「しんどい低気圧不調」など、今ある不調を解消して、将来の病気リスクまで下げる健康のコツを100通りご紹介!
イラストや図を交えた丁寧な解説でわかりやすい1冊になっています。
あなたの体と心に本当に合ったセルフケアで、今日から養生生活を始めてみましょう!
イラスト/日江井香
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『自律神経にいいこと大全100』
著:森田遼介
森田遼介
TC鍼灸マッサージ院 院長
国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」・2024年4月フジテレビ「ホンマでっか!?TV」出演。
初の書籍『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス)のほか、『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。
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