夏の終わりの“不調”はこうケアする…「15分の昼寝」「1日10分の一人時間」メリットと注意点を自律神経の専門家が解説


暦の上では秋ですが、実際にはまだまだ夏真っ盛り。連日の暑さもこたえ、なかなか取れない身体の不調……。
埼玉と東京で訪問治療を行い、不調との向き合い方などをSNSで発信している鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の森田遼介先生に、自律神経を整える養生の基本を教えていただく短期連載。

森田先生は、「大切なのは、自分に合ったセルフケアの方法を見つけること。そして、それを継続する力」と言います。そこで連載第2回は、まずここから始めたい“自律神経を整える習慣”をご紹介します。

※本記事は、森田遼介:著『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

*連載第1回(「トマトは毎日食べるべき」専門家がすすめる“一緒に摂るとコレステロール値が下がりやすくなる”食材とは)はこちら。

 

昼寝の6つのメリット

情報化社会で健康情報が多種多様な形で入手できる昨今ですが、私がおすすめする昼寝の仕方は、中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』に記されている子午流注(しごるちゅう)の内容と、コーネル大学の社会心理学者ジェームス・マース氏の研究発表をアレンジしたものとなります。それは、「13〜15時の間で15〜30分の昼寝をする」というもの。

この昼寝の仕方には、

①集中力の向上
②ストレス軽減
③記憶力の向上
④心臓疾患や認知症予防
⑤入眠障害の軽減
⑥むくみ改善

という6つのメリットがあります。

驚くことに、30分以内の昼寝の習慣がある人は、昼寝の習慣がない人に比べて認知症の発症率が5分の1になるという国立精神・神経医療研究センターの研究報告があるほどです。

13〜15時は子午流注の小腸の時間ですが、横になることで重力の抵抗が少なくなり、手足などの末端の余分な水分を回収しやすくなります。すると、その後の膀胱(ぼうこう)の時間(15~17時)に尿として体外に排出しやすくなるのです。

 

昼寝は30分以内

ここで気をつけたいことは、1時間以上の昼寝をすると副交感神経が優位に働き過ぎてしまい、起きた後も体はおやすみモードのまま。昼寝後に体の重だるさや片頭痛、気分の落ち込み、頭がいつまでもぼーっとする症状がある場合は、昼寝の時間が長過ぎるというサインですので、長くても30分以内に起きられるようにアラームをかけて対策をしましょう。

さらに、1時間以上の昼寝は心筋梗塞や脳梗塞、認知症の発症リスクを高めてしまうという研究も報告されているため注意しましょう。

 

ストレスが多い現代人

現代人はとにかく働き過ぎる傾向にあります。私が普段治療をしていると、働きモードの交感神経にかたよりが強くなっている人が多いと感じます。また、テレビやスマホなどの画面を見る時も働きモードになるため体は休まりません。このような興奮や緊張状態が続くと、自律神経が乱れて不調につながります。

自律神経は心の状態にも関係するため、心のコップがストレスでいっぱいになってしまうと大きな病気や強い精神疾患に発展してしまいます。ですので、コップがいっぱいになる手前で意識的にストレスを解消して、定期的に発散する工夫が大切です。

 

1日10分、一人でぼーっとする

ストレスを溜めない具体的な方法は、1日10分、一人時間を作ることです。植物が多い公園や湯船の中などであれば、よりリラックス効果が高まります。その時は仕事や家事、悩みごとを考えずにぼーっとしましょう。一人の時間ですから、ため息も我慢せず、ストレスを吐き出すイメージで、吐く息を長く意識しながら、ゆっくりと深呼吸をしましょう。

この少しの休息で、リラックス作用のある副交感神経が優位に働く癖がつくのです。副交感神経のスイッチを入れる癖づけをしていくことは、体にとって非常に大切です。

 

東洋医学の考え方で、病気とはいえないけれど「なんとなく不調」な状態を「未病(みびょう)」といいます。そして未病を解消したり、これから起こりうる病気の発症リスクを最小限にするために行う日頃のケアのことを「養生」といいます。生活の質をできるだけ良い状態でキープするために、未病と養生への意識アップの第一歩として、「昼寝をする」「1日10分ぼーっとする」の2つを生活に取り入れてみてください。

イラスト/日江井香

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自律神経にいいこと大全100
著:森田遼介

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森田遼介
TC鍼灸マッサージ院 院長

国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で、人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」出演。書籍『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。本書が初の著書となる。
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