【自律神経ケア】しんどい低気圧不調の原因と対策。「耳」の血流改善マッサージ



不調の改善の近道は、自分に合ったセルフケアの方法に出会うこと。
『自律神経にいいこと大全100』の発売を記念したこの連載では、予約が取れない鍼灸師として大人気の森田遼介先生が、自律神経を整える簡単なセルフケアを毎週ご紹介します。
今回は「低気圧対策」について。


※本記事は、森田遼介:著『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

 

低気圧不調が起こる原因

人間の体は、気圧が上がると血管が収縮しやすく、気圧が下がると血管が拡張しやすくなります。
この時、自律神経が整っていれば、拡がった血管を収縮する働きが起きて正常な状態を保てるのですが、疲れやストレスが溜まっていて自律神経が乱れていると、この血管の収縮・拡張のバランスが取れなくなってしまいます。
これが、気圧の変化で不調が起こりやすくなる原因です。

寒暖差で不調が出る人も多いですが、頭痛やめまい、首肩こり、腰痛、体の重だるさ、眠気、気持ちが上がらない、頭が回らないなど人それぞれ起こる症状が異なります。自分の症状に応じてセルフケアを行いましょう。

 

耳の血流改善マッサージ

私たちの耳の中には、気圧変動などを感じ取るセンサーがあります。急激な気圧の変化が起こるとそのセンサーが反応し、自律神経のバランスが崩れやすくなるのです。
ですので、頭痛やめまい、体の重だるさ、眠気、気持ちが上がらないなどの低気圧不調には、耳の血流改善が効果的です。
日頃から耳のマッサージを行い、良い血流循環を維持しておきましょう。

やり方は、親指と人差し指で耳全体をつまみ、ゆっくりグルグルと回すだけ。
ただし、片頭痛やめまいの発作時に行うと症状悪化につながる可能性があるので、症状が出る前に対策として行いましょう。
低気圧で不調が出やすい人はできるだけ日頃から習慣にし、特に気圧が下がる予報が出た時に意識して行うことで、症状がやわらぐでしょう。

また、寒い時期や湿度の高い日は耳が冷えていることが多いため、温かい手で耳を温めるとよいでしょう。冬の外出時には、家を出る前にマフラーやイヤーマフをし、耳を冷やさず、外気の寒さで体をビックリさせないようにすることも大切な養生になります。

 

耳は五臓の腎とつながる

また、耳と関係が深い五臓(ごぞう)は、冬の五臓である「腎(じん)」です。
腎は腰やお尻と関係が深いため、腰やお尻の筋肉が硬い場合はストレッチや鍼灸、マッサージ治療でほぐし、冷えている場合は温めてあげましょう。足首や膝を温めることも腎に良い養生です。
足が冷えていると、熱が頭部にのぼりやすくなります。そして頭部に熱がのぼると、頭痛やめまい、不眠などの不調を招きやすくなります。

耳の周囲の筋肉も大切です。首・肩・背中のストレッチをしたり、あごの咬筋(こうきん)や側頭筋(そくとうきん)マッサージ、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)ストレッチも効果的です。
また、ホットタオルなどで後頭部を冷やさず温めましょう。

(※)五臓……東洋医学の五行説(万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素で構成されていると考える思想)における、人体の働きを「肝、心、脾、肺、腎」の5つに分けたもの。

首・肩・背中のストレッチ

①リラックスした状態から左右の肩甲骨(けんこうこつ)を寄せ、無理のない範囲で頭を天井へ向ける。
②その状態で5秒間キープする。これを2~3セット行う。

胸鎖乳突筋ストレッチ

① 右の鎖骨の内側半分を人差し指と中指全体で軽く押さえる。
② あごを左上方向へ斜めに上げ、ゆっくりと3回ほど呼吸を入れる。
③ あごを元の位置に戻したら、反対側も同様に伸ばす。これを左右2~3回ずつ行う。

イラスト/日江井香

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自律神経にいいこと大全100
著:森田遼介

森田遼介
TC鍼灸マッサージ院 院長

国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で、人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」出演。書籍『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。本書が初の著書となる。
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