【後編】宝塚歌劇団 小柳奈穂子さんインタビュー

【後編】宝塚歌劇団 小柳奈穂子さんインタビュー


観客のニーズに合わせ、商品として
成立する舞台を考え、作り、届ける

―そんな戸惑いを抱えていた20代、小柳さんが問題解決を試みるかのごとく「よく読んだ」というのがビジネス書。

「“作家とは”という芸術的なアプローチより、こっちの方が私には向いているんじゃないかと。ターゲットを知り、コンセプトを考え、どういう戦略で商品を出していくか……実際に、そういう考え方で作った方が、自分の舞台は面白くなることに気づいたんですよね」

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―観客の目線に立ち、商品として成立する舞台を考え、作り、届ける。
小柳さんの舞台が“エンターテインメント性が高い”と評される理由はそこにあるのだろう。

「極論を言うと私は“作る”より“観る”のが好きなのかもしれない。そして、今まで観てきたものの形を変えて出すのが上手いだけというか。でも、それは自分の強みだとも思っているんです。

また“観る”のが好きだから観客の目線を忘れずにいられる。好奇心旺盛なのは今も変わらず。最近はずっとハロプロが大好きで。アンジュルムというグループを追いかけているんですけど(笑)。自分自身がファン目線を持っているからこそ、宝塚もファンの方々と同じ目線で立てるというか」

―取材時は来年公演予定の星組『オーム・シャンティ・オーム〜恋する輪廻〜』の構想真っ最中。
「今作はインド映画を題材にしたマサラミュージカルなんですけど。インド映画もいろいろ観始めたら楽しくて。また、ヒンズー教の本を読み始めたのですが、その知識があるとさらに作品が面白くなる」と楽しそうに語った小柳さん。文化的好奇心旺盛な性格は今も変わらない。

さらに、来年は父親のコレクションに並んでいた作品『幕末太陽傳』を雪組の舞台に。血肉となっている知識とかぞきれないほどある引き出しを武器に、観客を楽しませる舞台作りに挑み続ける、そんな小柳さんに「この仕事の楽しみは何か?」と質問をぶつけると、こんな答えが返ってきた。

「無理難題と向き合ったり、作品を掘り下げていくと、“この手があったか!”と、思いもよらない答えが出てくることがあって。その瞬間がたまらなく気持ちいいんですよ(笑)」

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