【前編】風邪、乾燥肌、だるさ…『おくすり飯114』の著者に今、食べるべき野菜を教えてもらいました

【前編】風邪、乾燥肌、だるさ…『おくすり飯114』の著者に今、食べるべき野菜を教えてもらいました


お悩みに合わせた一膳のごはんレシピを紹介するWANI BOOKOUTの人気連載「おくすり飯」がこのたび待望の書籍化!『おくすり味噌汁114』『おくすり常備菜130』に続く、シリーズ第3弾となる本書。
著者であるフードコーディネーター・国際中医薬膳師の大友育美さんに、お話を伺いました。

978-4-8470-9528-3

大友さんは、日頃からおくすり食材を意識した食事をされているということなのですが、ご家庭で取り入れはじめたきっかけを教えてください。

おくすりシリーズの考え方は薬膳が基になっています。

体の不調があって漢方薬を飲み始め、漢方を調べていくうちに、同じ中国の伝統医学がルーツである薬膳を知りました。食材で体を温めたり冷やしたり、季節のトラブルの原因をこれまでにない視点で説明してくれたり……知れば知るほど興味深く感じられて。

薬膳はなんと2000年以上前からあり、中国の皇帝のためにあらゆるものを命がけで食べ、効果、効能を確かめる仕事をしていた「食官」の数千年かけて蓄積したデータが基になっているそうです。これだけ長い間実践されてきた知恵であり、食養生なのだと思うと、信頼する気持ちになりました。

start

薬膳というと難しい印象ですが、どのようなものなのでしょうか?

薬膳では、体は「気(き)」・「血(けつ)」・「水(すい)」で構成されていると考えます。

「気」は血液循環、新陳代謝を促すエネルギーで、「血」は全身に栄養、うるおいを届け、「水」は全身にある体液のこと。この3つがバランスよく働くよう、食材の効能を組み合わせで作る食事が「薬膳」です。

聞きなれない言葉で難しく感じるかもしれませんが、しょうがが体を温める、夏にきゅうりやスイカを食べて体を冷やす、風邪にはねぎが効果的、なども薬膳。古くからとても身近に、生活に溶け込んでいるのです。

どのように日常的に取り入れたらいいのですか?

気になる症状があれば、それに合わせて食材を選ぶといいと思います。私は、娘が咳をしていたらアスパラガスやれんこん、息子が鼻炎だとかぼちゃ、しそ、ねぎなど、家族の体調を考えて買い物することが多いです。

私自身、おくすり食材を取り入れた食事を作るようになってから、日々過ごしやすくなったように感じます。作っているメニューは今まで通りで食材を少しかえるだけ、と簡単なのもよいところ。ぜひ、いつものごはんに気軽に取り入れてみてください。

この時期に気になる症状といえば風邪ですが、風邪を引きそうなときにおすすめの食材はなんでしょうか?

寒気を感じたときには、体を温めるしょうが、ねぎ、しそ、パクチーを。ねぎは下痢など、お腹の風邪にも有効です。喉の不快感、咳には大根が効果的。予防にもおすすめです。

頭痛、鼻づまり、喉の腫れ、痛みなどの症状のときには、ミントを取り入れてみてください。

同じく冬に気になる、乾燥肌におすすめの食材はなんでしょうか?

うるおい効果のある長いも、れんこん、ごまがおすすめです。加齢による乾燥も気になるときは豚肉、血色が悪いときには「血」を補うほうれん草が効果的です。

 

今の時期におすすめの「おくすり飯」

冷えからくる花粉に
かぼちゃのしょうがヨーグルト飯

 abocha

【材料(1膳分)】

ごはん…茶碗1膳
かぼちゃ…1/8個
Aヨーグルト…大さじ2
Aしょうが(すりおろし)、ポン酢…各小さじ1

【作り方】

1.かぼちゃは種とワタを取ってラップに包み、600Wの電子レンジで4分加熱し、5㎜厚さに切る。
2.ごはんに1をのせ、混ぜ合わせたAをかける。 

【おくすりMEMO】

そろそろ花粉が飛び始める時期。早めの予防、対策が大切です。
花粉症のタイプは2つにわけられます。

①水っぽい鼻水、くしゃみ。原因は「冷え」で、温めると楽に。
②鼻づまり、目のかゆみ。原因は「熱」で、体が温まると症状がひどくなります。

両方の症状がある場合は、お風呂に入ったとき、楽になれば、「冷え」、ひどくなれば「熱」です。このレシピは①の「冷え」が原因のときにおすすめ。体を温め、余分な水分を排出して、症状を改善します。

かぼちゃは、体を温めて抵抗力を高めてくれます。
しょうがは、余分な水分を出す効果が高く、鼻水を抑制してくれます。また発汗を促し、外から入ってくる花粉から体を守ります。

②の症状には、5月に連載でご紹介した「アスパラの甘辛飯」がおすすめです。

 

 大好評発売中!
『おくすり飯114』


Written by otomo ikumi

大友 育美(おおとも・いくみ)/フードコーディネーター・国際中医薬膳師。高知県生まれ。自然食レストランで調理の仕事を経て、現在はフードコーディネーターとしてNHKをはじめとするTV、書籍、雑誌、web、広告などで幅広く活躍中。家にある食材で手早く作れる、体にやさしい料理が好評。国立北京中医薬大学日本校で国際中医薬膳師の資格を取得。著書に『おくすり味噌汁114』『おくすり常備菜』(ともに小社刊)。

»この連載の記事を見る