きのこの季節がやってきた

きのこの季節がやってきた


食いしん坊が本領を発揮する季節がやってきた。食欲の秋、味覚の秋とはよくいったものだ。

秋は美味しいものが満載。脂ののった秋刀魚にほっこり甘い栗、馥郁とした香りの洋なしや深い甘さの柿などのフルーツに、シーズン中に一度は食べたい憧れの松茸を代表とするするきのこの数々。いまどきにスーパーに行くと通年あるしいたけやしめじに加えてこの季節ならではの珍しいきのこがたくさん揃えられて目を楽しませてくれる。

そもそもきのこは形からしておもしろい。子どもの頃に読んだ絵本には必ず赤と白の水玉のカサを持つきのこが描かれていたように、そもそも食べるものというより、眺めて面白いもの。自然のものとは思えないまるで作りもののようなフォルムと微妙な味わい、火を通すとぬるっとする食感も加わって子どもの頃は苦手な食材だった。それがいつの頃からかその香りと旨みの宝庫のような味わいにきのこの実力を認めない訳にはいかなくなった。

きのこの代表といえばやっぱり松茸だ。秋の始まりに和食のお店で土瓶蒸しに出会ったときの喜びといったら! なかみは単なるお吸い物なのに、土瓶に入って小さなおちょこと半分に切ったすだちを伴って現れた姿は特別感が半端ない(笑)。いそいそとふたを開けて、松茸や銀杏をつまみ、すだちを絞っておちょこに注いでお出汁をいただく。それだけで季節を実感できるのだから幸せだ。

松茸といえばごはん。国産には手が届かなくても、少しだけお手頃な外国産のものを求めて、家でも何回かは炊いている。以前、谷中にある「まめたん」というカウンターの割烹料理店でいただいたのは、松茸ごはんとすき焼き風の牛肉の取り合わせ。
松茸の産地で食べられているという松茸入りのすき焼きを思わせるなんとも贅沢で味わい深い一品で、家でも真似するようになった。シンプルに炊いた松茸ごはんにこっくりと煮上げた牛肉を添えると箸がとまらないほどの美味しさ。そのときばかりはちょっと奮発してこの組み合わせを楽しんでいる。

また邪道かもしれないが、松茸を豚バラ肉の薄切りとバター醤油で炒めたものも絶品だ。それを炊きたての白米にのせてちらっとすだちを絞ればたまらない。まさに至福のひとときが訪れる。この組み合わせ、松茸ではなかなかできないので、いつもはエリンギで代用している。それでも十分美味しいのでいまではそちらが我が家の定番に。

またきのこの種類が豊富なときによく作るのが何種類ものきのこを取り合わせたきのこのソテー。椎茸、しめじ、まいたけ、エリンギにマッシュルーム…etc. あればあっただけ味わいが深くなる。
きのこは水気を嫌うので、炒めるときには洗わないでさっと泥を払うくらいでちょうどいい。大きく裂いて、オリーブオイルとバルサミコを適量まぶしてから、つぶしたにんにくで香りをつけたオリーブオイルで、フライパンで焼きつけるようにソテーすると一度きのこから出た水気がなくなり、しゃきっとした歯触りに仕上がって美味しい。仕上げに刻んだエシャロットとパセリを混ぜれば完成。

そのまま付け合わせにするのはもちろん、パスタの具にしたり、コンソメで煮込んでバーミックスなどで撹拌してミルクでのばしてきのこのポタージュにしたりと活用できるので、たくさん作って冷蔵庫にストックしている。

火を入れて食べるイメージがあるきのこだが、生のマッシュルームの美味しさもぜひ知って欲しいもののひとつ。
よく家で作るのがスライスしたマッシュルームとセロリを合わせて、パセリとローストした松の実を散らして、おろしたパルミジャーノと黒胡椒をたっぷりかけたもの。オリーブオイルを回しかけ、仕上げにレモンを絞って混ぜて食べるとしゃきしゃきとした歯ごたえとマッシュルームの香りがなんともいい感じ。ワインによく合うおつまみになる。

Instagramに上げるたび、「マッシュルームは生で食べられるのですか?」と質問をいただくが、マッシュルームは生で食べられるんです!(ジェイ・カビラ風に)
インゲンとクレソンと生のマッシュルームを合わせ、醤油を隠し味にした粒マスタードのドレッシングで食べるサラダも我が家の定番だ。このサラダは洋食にも和食にも合うのでよく登場させている。生のままでよし、炒めてよし、煮込んでも美味しいマッシュルームももっともっと食べてみてほしい。

今では大好物になったきのこたち。秋のあいだに存分に楽しみたいと思う。

*次回は11月12日(月)更新予定です。

 

『arikoの食卓』

 『arikoの食卓 -もっと食べたい-』

『arikoの黒革の便利帖』
ariko%e3%81%ae%e9%bb%92%e9%9d%a9%e3%81%ae%e4%be%bf%e5%88%a9%e5%b8%96%e5%b8%af%e3%81%82%e3%82%8ar

Written by ariko
ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。現在、フォロワー数は98000人を突破。Instagram@ariko418

»https://www.instagram.com/ariko418/

»この連載の記事を見る