第21回 秋のパリで食べつくし! マルシェから家庭料理、注目レストランまでグルメリポート

第21回 秋のパリで食べつくし! マルシェから家庭料理、注目レストランまでグルメリポート


今月はパリで食べた美味しいもをまとめてみました。

秋はフランスでも一番美味しい季節です。

たくさんのキノコがマルシェの主役です。セープ茸はお値段も結構するので普段は買いませんが、ジロールというオレンジのキノコはこの季節オムレツにしたり、シンプルにバターと炒めたりとフランスの家庭でもよく食卓に上ります。

松茸のような形のセープ茸は生でイタリア風にカルパッチョにしたり、火を通すとトロッとするのでリゾットにしても格別です。お客さんの来る日に買っていました。

滞在させてくれた友人家族にお礼のディナーとして作ったのがマルシェで買ったサーモンとジロールの味噌炒めです。お味噌やお醤油は街中のオーガニックスーパーでも手に入り、和食も作りやすくなりました。ネギの代わりに仕上げはシブレットで飾って。

LAの友人のお店「Toiro」から買って来た豆乳とにがりでお豆腐も作りました。お豆腐を作ったのは初めてでしたがこんなに簡単に美味しく作れるとは驚きです。豆乳をスーツケースに入れたものの、機内に入ってから気圧で爆発する可能性に気づき、かなり不安になりましたが無事原型を留めたままフランスに到着しました。11時間のフライトの間、自分の服が豆乳だらけになることを想像すると恐ろしく寝る気にもなれませんでした。そんなエピソードを持った手作りのお豆腐です。

イタリアのオリーブオイルとハーブのセルフィーユを合わせました。


「Maison de Vacance」 のオーナー夫婦ニコラとエマニュエルのお家はパリに来ると必ず寄ります。オーガニックマルシェ、「ラスパイル」で買ってくれたイタリアのプロシュートとイチジクの前菜。この前にはフォアグラとトリュフ入りのチーズを食べて、この後には鶏の丸焼きにポテトのオーブン焼き、デザートには大きなパリブレストが出されお腹いっぱい。エッフェル塔を眺めながら我ながらよく食べた夜でした。

今回一番行きたかったのは「yam’Tcha」というレストランで、フランス人の女性オーナーシェフがお茶を専門とする中国人のご主人と経営するフレンチ中華のレストランです。「Chef’s table」 というドキュメンタリーを見てからずっと行きたくて、2ヶ月前に予約してギリギリランチの席を確保できました。ここの魅力はもちろん彼女の創作料理のコースですが、一番興味を持ったのは中国茶とのペアリングでした。ロスで友人を介して中国茶と出会い、その奥深さに惹かれこれまでも様々なお茶を飲んできたので、フレンチ中華と合わせるお茶はどのようなものだろうと興味津々でした。 星付きレストランだけあって落ち着いた雰囲気の中、繊細なお料理がその都度お茶とともに運ばれてきました。フレンチの材料で作られる洗練された中華料理は見た目も美しく、目で楽しむお料理でもありました。中国茶の風味もそれだだけで飲むのとお料理と一緒に飲むのでは味わいも随分変わります。まさにワインのペアリングのような楽しさです。前菜にはフルーティーな烏龍茶、メインには発酵した独特の重みのあるプーアル茶が選ばれました。近所にご主人が経営するブティックもあり、そこでもお茶はもちろん軽食を取ることもできます。中国茶器も素敵なものがたくさんありました。次回はブティックの方でランチをしながらご主人ともゆっくり話をしたいと思っています。

アート本を扱うお店「Yvon Lambert」の隣にあるこの小さなお魚屋さんは通り沿いに新鮮な魚介が並び、あまりの新鮮さに目を奪われ思わず中に入るとチャーミングな席が3席用意されていました。そこに引き寄せられるようにその後にディナーの予定があったにもかかわらずオーダーしてしまいました。Bulot(ブロ)というブルターニュで採られた貝は学生の頃よく食べていた懐かしいもの。魚介は全てこのお店で火を通されて、ちょうどいい塩加減と旨味がたまらなく美味しくて、次の日も戻ると魚屋のお兄さんたちは大歓迎してくれて白ワインをご馳走してくれました。パリに住んでいたら、間違いなく通うでしょう。こういうお店が普通に残っているのがパリの魅力です。

最後の夜に友人と行ったお店「Au Petit Panisse」は11区にある小さなフレンチでした。全身にタトゥーが入った帽子の似合うシェフが作る料理はホッとする味でお店の雰囲気もいかにもパリの下町。連れて行ってくれた友人も彼と仲がいいので、私たちの会話に入ってきてワインをご馳走になりました(また!)

よく見ると器もこのお店のオリジナルでロゴの可愛さに思わず顔がほころびました。

3年ぶりのパリは想像していた以上に自分を刺激してくれ改めてこの街との絆を感じました。またこの街に戻ってこようと決意しました。今は23歳の時に留学した時よりも自分の背負うものが大きくて責任もありますが、それでもやはり私は私の人生を歩んでいきたい。これからのゴールはまたパリに生活の基盤を戻すことです。ここ最近かすれていた目標が定まったのであとは前進するのみです。

次回は1月のMaison Objectの時期に私のセレクトしているオンラインショップ「nanamina」の買い付けに行きます。今からとても楽しみです。

 


Written by EMIKO

EMIKO HANAWA/1996年よりフランス語学留学のために渡仏。翌年、パリのモデルエージェンシーにスカウトされ、モデルデビュー。その後ドイツ人フォトグラファーと結婚、二児をもうける。2010年秋より、家族そろって米国ロサンゼルスに移住。現在は子供服とライフスタイルのコンセプトストア「nanamina」を立ち上げヨーロッパやニューヨーク、アジアにてグローバルにモデル、母、女性としての豊かなライフスタイルを提案。パリで学んだヨーロッパ薬膳とアメリカで流行中のスーパーフードを取り入れたメニューを提案する料理教室も人気を博すなど、各方面で活躍中。
Photo by Peter Augustin

»http://nanamina.com/

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