お弁当生活再び

お弁当生活再び


このステイホーム期間中にはショッピングするもままならずに、ご多分にもれず、ネットショッピングのお世話になった。携帯を見ながらぽちっとするだけで、家にいても欲しいものがなんでも手に入る。宅急便のお兄さんにはどれだけお世話になったことか。改めて流通関係の方々に感謝したい。
なかでも買ってよかったと改めて思うのが曲げわっぱの弁当箱だ。それも1個3,000円が1,798円にお買い得になっていた白木製のもの。せっかくなので家族3人分をまとめて購入した。
簡単な作りだが、食べた後もざぶざぶ洗えて、さっぱりと乾くのがいい。邪道かもしれないけれど、お弁当を留めるゴムが付いているのも外に持って出る時に便利だ。

息子が大学に進んだのをきっかけにいったん卒業していた我が家のお弁当生活だが、家にいなければならないこの時期にまさか復活するとは。
毎食家で食事すると朝ご飯を食べたら、お昼のことを。お昼を食べたら晩ごはんのことを考えなければならない毎日。いくら料理が好きでも、毎日のことになるとだんだん負担に感じるようになってしまった。つくりすぎてしまったお惣菜、前の晩のあまりものをそのまま食卓に出すのは憚られても、お弁当に詰めるだけでなんだか新鮮に感じられるから不思議だ。

息子が中学、高校時代のお弁当は食べざかりのお腹を満たすのが目的で、男子だというのもあってアルミの弁当箱やタッパウエアにメインのおかずに野菜類を1~2種類ほど添えた、色気もなにもないがっつりシンプルなものだった。バラエティ豊富なメニューというより、牛丼、豚の生姜焼き、照り焼き、から揚げ、ハンバーグ、オムライスなどの安心安定の定番メニューをローテーションするのを好んでいた。今考えるとまるで街のお弁当屋さんのようなメニューだったなと笑ってしまう。
今の時代、インスタグラムから流れてくるのは色鮮やかで品数も豊富な美しいお弁当の数々、今のお母さんは本当に大変だなぁと素直に尊敬している。曲げわっぱもその時代にはあまりポピュラーではなかったような気がする。

さて、想い叶って手に入れた曲げわっぱ弁当箱、さっそく季節のたけのこごはんを詰めてみた。おかずは牛肉を生姜と甘辛く煮詰めた時雨煮に甘めの卵焼き、ほうれん草やいんげんの胡麻和えに季節の鰆の柚庵焼き…。主役のおかずたちを引き立てるのはレンコンやみょうがの甘酢漬け。この甘酢漬けを添えるだけで、最後まで美味しく食べ進めることができる。

毎朝作る男子学生弁当に比べて、今作る弁当はさしづめ大人のお好み弁当というところか。時間に余裕があるので、おかずの配置なども考えながらちまちま詰めるのがなんとも楽しい。
炊きあがったごはんを詰めたら、出来上がったおかずに冷蔵庫のなかの常備菜を並べて詰めていく。改めてのお弁当作りがあまりにも楽しくて、この自粛中、ひとり暮らしの友人に生存確認を兼ねて、何人かに配達しに行ってしまった。とても喜んでもらえたのも弁当作りに励みになった。なんでも褒めてもらうことはモチベーションにつながるとつくづく感じた期間でもあった。

毎食を自宅で食べる時期なので常備菜的なものをいろいろ作っておくと重宝する。
例えば、にんじんしりしり器で細切りにしたにんじんを炒めて、酒でのばしたたらこで炒め合わせたもの。なすを一度揚げてほんのちょっぴり酢を加えたつけだし汁に浸した揚げびたし、茹でたいんげんをおろし生姜とだし醤油、胡麻油であえたもの。アスパラやブロッコリー、ニラなどをたたいた梅ぼしとだし醤油、ほんの少しの砂糖であえたものなどなど、お弁当にぴったりだが、晩ごはんの副菜にもあると重宝する。
豪華なものがなくてもしみじみ美味しい野菜料理がお行儀よく並んでいるとどれから食べようかと思わず迷い箸してしまうほどだ。

またお弁当に欠かせないものといったら卵焼きだ。お砂糖たっぷりの甘いもの、いや、だし汁がたっぷりの甘くないやつしか許さないと卵焼きの話になると熱くなる人も多いが、我が家の卵焼きはその中間といったところ。
卵3個にだし汁を75ml(だし汁といっても水に白だし少々)、砂糖大さじ1.5、薄口醤油、みりん各少々を合わせたものを焼く。卵焼き器もテフロン製で先の一辺がカーブしているマイヤー社のものを新調したので失敗なしにふんわり上手に焼けるようになった。

卵の数を増やせばお蕎麦屋さんのように大きな卵焼きになるので、大根おろしを添えて、麺類のお供に、晩酌の一品にと活躍してくれる。便利な調理器具のおかげで料理の仕上がりが格段によくなることも毎日料理していたこの時期に感じたことのひとつ。ほかにもちょっと小さめで深さのあるバーミキュラのフライパンが使い勝手がよく、ほんとうに焼きものや炒めものが上手にできて新調してよかった。

最後にこれから旬を迎えるみょうがの甘酢漬けのレシピを。
みょうが6~9個は縦半分に切る。小鍋に沸かした湯に入れてさっと(40秒ほど)茹で、ザルに上げてから軽く塩を振って粗熱を取る。切り口を下にしてキッチンペーパーに並べておくと水っぽくならない(ほんのひと手間だけど大切なこと)。

甘酢は昆布だし120mlを沸かして砂糖山盛りの大さじ4、塩小さじ半を溶かし入れ、火からおろして酢100mlを加えておく。そこに下茹でしたみょうがを入れてしばらくおくと茹でて退色したきれいなピンク色が戻ってくる。砂糖はこんなにたくさんと思われるかもしれないが、しっかり甘くしないと仕上がった甘酢漬けの味がぼやけて締まらない。普段、料理にはたくさん砂糖を使わないが、甘酢漬けだけは思い切って甘くしている。

密封容器に甘酢ごと保存して冷蔵庫に入れておくとお弁当にはもちろん、焼き魚のあしらいやそうめんの薬味に使えて重宝する。

 

 

*次回は7月13日(月)更新予定です。

 

『arikoの食卓』

 『arikoの食卓 -もっと食べたい-』

『arikoの黒革の便利帖』
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『arikoの食卓 ~小腹がすいたら~』

Written by ariko
ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。現在、フォロワー数は131,000人を突破。Instagram@ariko418

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