【INTERVIEW】『シンデレラはオンライン中!』に出演中の山下航平。初のレギュラードラマに挑戦し、そこから得た気づきとは。

【INTERVIEW】『シンデレラはオンライン中!』に出演中の山下航平。初のレギュラードラマに挑戦し、そこから得た気づきとは。


『ホリプロメンズスターオーディション』のファイナリストに選出され、俳優活動をスタートさせてから約2年間、数々の作品に出演してきた山下航平。初のレギュラー作となる『シンデレラはオンライン中!』では、主人公・朝陽(瀬戸利樹)を傍で見守る直井俊介を演じる。現役大学生の山下が等身大の姿で演じた直井という役柄について、また全話の撮影を通して感じたことについて、話を聞いてみた。

撮影/浦田大作 文/竹下詩織

——今作のお話しを聞いた時はどんな気持ちでしたか?

「今まで連続ドラマはその一部で関わらせて頂いたことはあったのですが、こうしてレギュラーで参加させて頂くのはこの作品が初めてだったので、全話を通して自分がどうやって役を作っていこうか、台本を読みながら想像するのが凄く楽しみでした。出演者の方みんな年齢が近いというのも楽しそうでしたね」

——台本を読んで、直井という役をどう捉えましたか?

「僕が演じる直井は表情で語るというか、表情で見せなければいけないお芝居が多くて、少し難しいなと思いました。相手の気持ちを汲み取ってくれる子なので、台本にも『…』と書かれているシーンが多かったです。その部分をどう演じようか、自分なりに凄く考えました。あとは朝陽が “王子様”キャラで、広木(三浦獠太)はお調子者でワイワイしてくれるキャラ。その個性の強いふたりの中で、自分はどう存在すればいいか、ということも考えました。どっちに寄り過ぎてもいけない。でも僕の中でひとつ決めていたのは、“朝陽のことが凄く好き”ということ。それをベースに、仲間を凄く大事にしていて、どちらかというと自己犠牲というか、自分よりも友達のために動ける子だと思ったので、台本を読みながら“直井は本当にいい子だなあ”とずっと思っていました。物語では、直井にとってずっと幼馴染みとして見てきた朝陽が、恋愛をしていくにつれて少しずつ変化していく。そのうちに自分の見たことのない朝陽を見て、“ああ、かわいいなあ”と思ったり、恋愛に悩んでいる朝陽を見て“元気づけてあげたいなあ”と思ったり。直井のストーリーの関わり方としては、朝陽のいい相談役というか、一番近くにいてあげられる存在だったのかなと思います」

——撮影までに準備したことはなにかありますか?

「オンラインゲームが出てくるので、まずは一度自分もやってみようと思ってPCにDLしました。でもデータが重すぎてDLに1日かかっちゃって(笑)。始めるに始められなかったので、その間Youtubeで”オンラインゲーム”と検索してイメージを膨らませました。バスケをするシーンも多かったのですが、僕はバスケ経験がないので、家にあるサッカーボールで近くの公園でずっとドリブルの練習をしていました。あと、オンラインゲームのシーンで、僕の持つ武器が凄く大きかったんです。僕の身長と同じくらいの大きさで、かなり重く感じました。稽古初日にそれを持たせてもらった時、全然振り回せなくて翌日筋肉痛になっちゃうくらいだったので、同じサイズくらいの鉄パイプを友達から借りてきて、その鉄パイプをまた公園に行って夜な夜な振り回すっていう(笑)。撮影期間は本当に怪しいヤツだったと思いますよ。サッカーボールでバスケして、夜は鉄パイプを振り回してるから(笑)。でもその甲斐もあって、いざ本番ではしっかり振り回すことが出来ました」


——役を演じる上で、現場で気を付けたことはありますか?

「僕が凄く大事にしていたのは、朝陽と広木との3人の関係性です。初日の撮影が部屋で朝陽とふたりのシーンだったんですが、僕はまだ芝居の経験も浅かったので、とにかく朝陽のことを知らないとだめだと思って、瀬戸さんにたくさん話しかけて、趣味とか色々聞いて仲を深めました。瀬戸さんも凄くいい方なので、僕のことを凄くかわいがって下さって。そのふたりのシーンをやってみて、直井が朝陽のことを凄く尊敬していて、朝陽のことを友達として凄く大事にしたいと思っているのが役としてちゃんとつかめました。その後の広木とのシーンも、直井と朝陽の関係性を軸にして考えることが出来ました。そうやって現場のオフの時間もなんとなく3人の雰囲気が出てきて、撮影が進むにつれて空気感が凄くよくなっていったと思います。年も近かったので、話題も色々あって本当に楽しかったです。凄くしょうもない話題なんですけど、好きなおにぎりの具とか、おでんの具とか(笑)」

——楽しい現場だったのですね。監督とは演出上でなにか話しましたか?

「実際に現場に入ってカットしたセリフがありました。例えば相手を傷つけたい訳じゃないけど、受け取り方によってはそうなってしまうんじゃないかっていうセリフは、監督とも意見が一致して、『じゃあここはカットしよう』とか、そうやって現場で監督とすり合わせていました。現場で直井像が更に洗練されました」

——直井の人物像は、自分と重なる部分もありましたか?

「台本を読んでいて思ったのは、直井とは音楽の趣味が合いそうだな、ということ。凄くおおざっぱですけど、広木はアップテンポな激しめの曲を聴いてそうだし、朝陽は洋楽とかを聞いてそう。直井はミスチルかなあと思って、その音楽の趣味は合いそうだなって思いました(笑)。性格の面で言うと、自分で言うのもなんですが凄く仲間思いで友達を大事にするところは似ているかも。そして直井の尊敬出来る部分は、たぶん朝陽と比べてもスキルの部分ではそんなに変わらない。もちろん朝陽はカリスマ性が凄いんですけど、直井も十分上に立てる人間なのに、あえてNo.2で朝陽の下で支えるところ。しかも、そのほうが直井は生きてくるんですよね。その立ち位置にいられる直井を凄く尊敬出来るというか、憧れますね。僕は目立ちたがり屋だから(笑)」


——前半は朝陽のことを見守り支える部分が多いですが、後半にかけて自分の恋愛模様も描かれていきます。

「いわゆる胸キュンですよね。朝陽にもそういうシーンがもちろんありますが、直井にもそのチャンスを頂けたので、ここは下心なくさわやかでナチュラルな姿を海ちゃん(ついひじ杏奈)に見てもらいたいなというのがありました。凄く緊張しましたけど、本番は海ちゃんの表情が凄くよかったんです。僕が頭をポンポンしたあとの海ちゃんの表情が、凄くキラキラしていて、その新鮮な反応にも凄く助けられていいシーンになったと思います」

——今後も胸キュンシーンは挑戦したいですか?
「したいと思います。緊張はしたけど、やっぱり人と人との関わりって凄く素敵だなと思うし、特に恋愛は接点のなかったふたりがどこかで出会って恋愛が始まるっていう、それだけでも奇跡的なことなので、そんなロマンチックな物語を演じさせてもらえるって光栄なことです。もちろん高校生役などいわゆる青春モノもやりたいですね。自分が送ってきた学生生活も楽しかったですけど、わりと勉強ばかりだったので、よくあるキラキラした学園モノは憧れます。今回は僕も大学生で、演じる直井も大学生だったので、ちょうど等身大の姿で演じられてやりやすかったです」

——オンラインのコスチューム姿やCG撮影の時は苦労しましたか?

「撮影自体は全てグリーンバックだったので、その場で想像しながら演じるのは難しかったです。でもやっぱり男って武器が好きなので(笑)、僕も剣や装備をつけられて楽しいなと思いながらやっていました。僕の兄がコスプレ関連に詳しいので、『これどうやってやればいいの?』『武器の持ち方を上手く見せられるコツってある?』と相談したりしました。現場ではみんなコスチューム姿なので、幻想的な雰囲気でしたね。朝陽も真っ白なレオンの姿になって、こんなに白が似合う人もなかなかいないだろうなって(笑)。カラコンやウィッグなどをつけるのも非日常というか、普段の自分では絶対にやらない格好だったので、アバターパートは凄く楽しかったです。しかも人間パートとアバターパートで、撮影の日程も分けてやって頂いたので、人間パートの撮影である程度仲良くなってからアバターパートの撮影をすることが出来て、芝居もやりやすかったです。直井とはちょっと違って見えたらいいなと思い、アバターパートでは少し髪を短くしました」


——完成した作品を見た感想はいかがでしたか?

「レギュラーで出させて頂くのが初めてで、1作通して関われたので、ちゃんと全話を通してそこに直井がいるなあって実感することが出来ました。最後も凄く感動的なシーンなんですけど、現場で感じた感覚と映像を通して観るのとではまた全然違うなと思いました」

——今回の作品で山下さん自身が成長した部分は?

「レギュラーとして携われたことで、スタッフさんとたくさんコミュニケーションを取って、どんどん自分の役がよくなってきているのがわかりました。スタッフさんからは、僕だけじゃわからないことなど、色々アドバイスを頂いたんです。あとは周りの演者さんと仲が深まるにつれ、影響を受けて自分の演技の仕方も変わってきたり。そういう経験は初めてだったので、自分もチームの一員として作品に参加出来たという気持ちが、この作品でやっと芽生えたなと思います。堂々と自信をもって『この作品に携わらせて頂きました!』って言えますね」

——今お芝居をしていて楽しいと思う瞬間は?

「僕、ずっと楽しいんですよ。仕事が決まってから、役作りをして、現場に入って、メイクをして頂いて、カメラの前に立ってカットがかかって…。その間一度も苦しいと思ったことがないです。新しい役に自分がどうアプローチ出来るかなとか、メイクさんにメイクしてもらってスタイリストさんに衣裳着させてもらって、それでより役のイメージが深まるし、いざカメラの前に立って自分が芝居をして、『それおもしろいね』『ここもうちょっとこうしてほしい』って自分の考えてきたものに監督の意見を頂いて、そうして映像になったものを誰かが観て、いいねって言ってもらえる。それって凄くおもしろいことで、ほかの職業を経験した訳ではないですが、自分にとってはこの仕事が天職というか、自分に凄く合っているなと感じます。モノづくりに関われているっていうのがいいですよね。チームスポーツに似ているのかな。僕もずっとサッカーをやっていて、小中高とキャプテンをやらせて頂いてたので、それとちょっと通ずる部分がある。撮影チームでひとつのいいものを作るのって、サッカーで言うとひとつの目標に向かって、みんなで県大会に出る、とかそういうのに似てると思います。その経験が大人になっても出来るのが嬉しいです。自分が経験したことのない職業にどうやってアプローチしようかなって考えるのもおもしろいですね。それについて調べたりするのも、自分にとって新しい知識が得られるので。色んな役をやる度に自分も成長出来るところが、おもしろい仕事だなと思いますね。
今後の目標としては、やっぱり映画にも出てみたいです。群像劇みたいな。あと僕、家族モノが大好きなんですよ。僕自身家族が凄く大事なので。いつかそういった作品に出てみたいです」

 


  ●プロフィール
山下航平/やました・こうへい
1999年1月25日生まれ、広島県出身。2019年、「ホリプロメンズスターオーディション」のファイナリストに選ばれホリ・エージェンシーに所属。同年『W県警の悲劇』でドラマ初出演。主な出演作に『世にも奇妙な物語2019秋の特別編』『10の秘密』『来世ではちゃんとします』『おじさんはカワイイものがお好き。』など。


    ●作品紹介
『シンデレラはオンライン中!』
脚本/三浦希紗 萩原恵礼
企画・プロデュース/田淵麻子
プロデューサー/小林和紘 竹田浩子
監督/佐藤さやか 本間利幸
出演/中村里帆 瀬戸利樹 ついひじ杏奈 山下航平 三浦獠太 ほか
FODにて毎週火曜12時~最新話配信中。フジテレビにて毎週火曜25時25分~放送中。
https://www.fujitv.co.jp/cinderella_is_online/