【INTERVIEW】ドラマ『津田梅子~お札になった留学生~』に出演する武上陽奈に、初取材を敢行! 作品についてや、役者を始めたきっかけなどを聞いた。

【INTERVIEW】ドラマ『津田梅子~お札になった留学生~』に出演する武上陽奈に、初取材を敢行! 作品についてや、役者を始めたきっかけなどを聞いた。


昨年放送された『二月の勝者-絶対合格の教室-』でドラマ初出演した武上陽奈。次なる出演作は3月5日に放送されるスペシャルドラマ『津田梅子~お札になった留学生~』だ。日本初の女子留学生としてアメリカに渡り、のちに女子教育の先駆者として活躍した津田梅子(幼名・梅)を主人公に、女性教育のパイオニアである津田の青春を描くストーリー。武上は梅と一緒にアメリカに留学する吉益亮の幼少期を演じる。まだ慣れない現場にどのような準備を重ねて挑んだのか。初めて受ける取材だったという14歳の彼女は、一生懸命に作品について、演じた吉益亮について語ってくれた。

撮影/浦田大作 文/浅川美咲

——オーディションではどのようなことをしましたか?

「気取ったお姫様みたいに自己紹介をして下さい」と指示があったり、監督から、「自分がケーキ屋さんを開いたとして、凄く喜びながらそのことを僕達に教えて下さい。その後に僕がケーキは嫌いだと言うので落ち込んでみて下さい」と言われて演技をしました。今回のドラマの台本は一部分だけ読んでいて、そのシーンを演じてみたりもしました。

——手ごたえはありましたか?

他の子の演技が凄く上手で、みんな可愛くて私…だめだと思いました。帰りのエレベーターの中で、“ああ…もう終わった”って思って。お母さんと一緒にオーディション会場に行ったんですけど、「いい経験になったね」って話しながら帰りました。

——そんな心境から、ドラマの出演が決まった時は驚きましたか?

最終選考に選ばれていたことをお母さんに教えてもらっていなくて、急に「前に受けたオーディション受かったよ」と言われて。びっくりし過ぎちゃって「え? 嘘じゃないの?」と思いました(笑)

——今回の脚本を読んでどのような感想を持ちましたか?

今と時代が違って、考え方の土台も全部違う中で、梅子さん達が凄く輝いていて、素敵だなと思いました。きらびやかで、本当に昔、こんな素敵なことがあったのかって!

——昔の歴史を学ぶところからスタートしなければならない内容ですよね。

小学生のころの歴史の教科書と、今使っている歴史の教科書を読んだり、ネットで情報を探したり。お母さんに、梅子ちゃんってこういう人なんだよと説明しながら勉強しました。


——演じる吉益亮にはどのような印象を受けましたか?

とてもかわいそうだなと思いました。行きたいと思って留学に行った訳ではないし、中途半端なところで帰ることになってしまって。その後、夢が叶った瞬間に亡くなってしまう…なんだか悲しいなと思いました。

——演じる時はどういうことを大切にしながら演じられましたか?

亮ちゃんは、私達の生活と全く違う生活をしてきたから、“この時代(明治)に生きている人”ということを意識しました。家にいる時は、亮ちゃんが歩いている時はこうかな? とか、亮ちゃんはずっと着物で過ごしていて、足も自由に動かせない。きっとお父さんとお母さんからも今の時代とは違う教育を受けていたんだろうなと頭に入れて。

——着物の衣裳を着ることで、役への切り替えが出来そうですね。

シャキッとしました。着物が凄く綺麗で、着せてもらった時に、衣裳の担当の方から、「これは凄い素材で作られているから大切に使ってね。実際に、あなたの役はこういうお洋服を着ていたんだよ」と聞いて、自分で靴を履いてみたりもしました。

——実際にお芝居で会話のキャッチボールをしてみてどう感じましたか?

今と言葉遣いが全然違うので、どんどん会話をはずませていくのはちょっと難しかったです。でも周りのみんなが凄く上手だったので、フォローしてくれました。

——共演者の方とはどのようなお話をされましたか?

一緒に留学をしに行った5人で、カイロで遊んだり(笑)。当時はこういう服を着ていたんだねと話したりもしました。撮影している時も凄く楽しかったです。


——森有礼を演じるディーン・フジオカさんとの共演シーンはどうでしたか?

凄く緊張していて、どうしようどうしようって心臓バクバクだったんですけど、ディーンさんが「お腹すいたね、もうお昼ご飯だから、あともうちょっと頑張ろう!」って言って下さって。頑張るぞ…! って思いました。

——大人になった宮益亮は宮澤エマさんが演じられます。ひとつの役を分けて演じることに対して、意識されたことはありますか?

宮澤さんとお会いしたことはありませんが、過去の作品を見て、こういう演技をする方なんだなと勉強しました。私はまだまだ未熟なので、そこをずっと意識するのは難しかったんですけど、この方の過去を演じるんだ! という気持ちを持って演じました。あとは、大人の時と子供のころの性格のギャップが大き過ぎるとだめだなと思って、台本は、大人のシーンを特に読み込みました。子供のシーンを成り立たせるためには、大人のシーンを読まなきゃと思って。

——自分で台本を読んでそうしようと思ったんですか?

そうです。でもなかなか上手くいかなくて、このシーンはこうなのに、これはどうしてこういう感情になるのかな? と、お母さんと話しあったりの繰り返しで大変でしたが、楽しい作業でした。

——今回、難しかった部分はどんなところですか?

亮ちゃんは、本当に正反対って言っていいほど私と違って、共通点を見つけるのが凄く大変でした。私は勉強が全然だめでやりたくないって思ってしまうけど、亮ちゃんは国のために勉強を頑張らなきゃという考えがあって。

——お芝居をする上で、役と自分の共通点や異なる点を探っていくやり方は誰かに教えてもらったんですか?

そういう訳じゃないんですが、必死にやっている中で、自分と同じところを見つけたらやりやすいんじゃないかな? と思ってノートに書いてみて。そうしたら、自分とは違うところも書いていこうと思ってやっています。


——亮は、今の武上さんと同じ14歳という年齢で、国の期待を背負って、日本初の女子留学生としてアメリカに渡りました。亮の気持ちを想像するのはなかなか難しかったと思いますが、どのように理解しようとしましたか?

お母さんにたとえ話をしてもらって想像しました。「もっともっとスケールは違うけど、たとえば、お母さんがお家を売り払っちゃうくらいのお金を使って、あなたを学校に行かせて受験させたとする。でもあなたは電車を乗り過ごしちゃって受験に行けなくて落ちたの!  その時の気持ちを想像して」って(笑)。それを聞いて想像してみたら凄く怖いなって…。こんな思いを背負って行ったのに、日本に帰ることになってしまった…と想像しながら役に入りました。

——お母さんがたくさん協力してくれたんですね。台本に何か書き込んだりはしていますか?

お母さんはスパルタなんです(笑)。台本には少しだけ書き込みました。お母さんのたとえ話をメモしたり、セリフ合わせが撮影の前にあって、その時に言われたことをどんなことでも書いてやる! と思って書き込んだり、自分の言い方とかをメモしたり、今こんな感情だ! というのを書きました。

——ドラマの放送が凄く楽しみですね。

友達にも見るからねと言われちゃって、緊張だし、恥ずかしいです。自分が演じているところをみていないので、もしも凄くへたっぴだったら…私はどうすればいいんだって(笑)。

——武上さんが俳優を目指したきっかけも教えて頂きたいです。

スカウトから入ったんですけど、ずっとこの世界に憧れていたんです。ただ、それまではまだ具体的には考えたことはなくて、テレビで活躍している人達って凄いな、私もなりたいなと思っていて、小さい頃の夢という感じでした。でもスカウトしてもらって一気に具体的になったんです。お父さんとお母さんは、まだ早いんじゃないかと最初反対していたんですが、私が毎日やりたい! やりたい! って1年間ぐらい言い続けていたら「じゃあいいよ」と言ってもらえました。

——今実際に俳優としてドラマに出演してみて、どう感じましたか?

視聴者としてドラマを見ていた時は、お芝居ってとっても自然だと思っていて。こんなに自然なんだから、もしかしたら私も出来るかもと謎の自信があったんです。でも実際やってみると片言になってしまって、こんなに難しいことを頑張っていて、みなさんは輝いているんだと気づきました。


——このお仕事を始めて、演技のために今何かやっていることはありますか?

ドラマや映画をたくさん観るようになりました。あとは何を見る時も…例えば人の動きを見る時も、“あっ、この人こういう人なのかな”って思ったり、なんでそう思ったのかを考えてみたり、妹がアニメを見ている時に、この人の声のこういう部分がいいな、私の演技でも使えるかな? って、なんだか見るものを全部使えるかな? って考えるようになりました。

——ちなみに、好きな映画はなんですか?

『ヘアスプレー』という海外のミュージカル映画が大好きで、毎朝学校行く前に観て…遅刻ギリギリになってしまいます(笑)

——まだ中学生ということで、勉強との両立が大変だと思いますが、今後はどんな俳優になりたいと思いますか?

どの分野でも活躍出来るような女優さんになりたいと思っています。

——では最後に、『津田梅子~お札になった留学生~』の視聴者に向けて見どころをお願いします。

言いたいことがたくさんあって…。全てが魅力なんです。昨日お母さんと1時間ぐらいかけてこの話をしたのですが、結局答えが出ないままで…。ひとつって決められないんですよね。登場人物が成長していく姿もそうだし、先程も話しましたが、衣裳とか物にもこだわっていて、どのシーンをみても綺麗で華やかで、でもその中に人間のドラマもあって、全てが素晴らしい作品になっているので是非見て下さい。

——宮益亮として、こういう部分を見てほしいということも教えて下さい。

私が演じたシーンではありませんが、梅子ちゃんと再会した時の亮ちゃんには、色んな気持ちが入り混じっています。(アメリカ留学を)頑張るぞという気持ちから、大人になって複雑な気持ちで梅子ちゃんと会うことになって。その成長を見て下されば嬉しいです。

 


  ●プロフィール

武上陽奈/たけがみ・はるな
2007年6月16日生まれ、千葉県出身。2021年『二月の勝者-絶対合格の教室-』の第一話に出演。日清オイリオのCMに出演中。3月5日放送のスペシャルドラマ『津田梅子~お札になった留学生~』で吉益亮(幼少期)を演じる。


   

●作品紹介
『津田梅子~お札になった留学生~』
脚本/橋部敦子
監督/藤田明二(テレビ朝日)
出演/広瀬すず 池田エライザ 佐久間由衣 宮澤エマ 井之脇海 平岩紙
/ディーン・フジオカ/田中圭 内田有紀/伊藤英明/原田美枝子

明治4年、6歳の津田梅は父のすすめで、日本初の女子留学生としてアメリカに渡ることになった。梅のほかには14歳の吉益亮と上田悌、11歳の山川捨松、9歳の永井繁が渡来したが、アメリカで学びはじめて1年後、目の病気にかかった亮と激しいホームシックに襲われた悌の帰国が決まる。時は経ち、明治15年、17歳になった梅は11年間におよぶ留学を終えて帰国。ともに留学をやり遂げた捨松や繁と「誰もが学ぶことの出来る英語学校を作ろう」と夢を語り合うのだが、待ち受けていたのは厳しい現実だった。
テレビ朝日系で3月5日放送
https://www.tv-asahi.co.jp/tsudaumeko/