【INTERVIEW】『快感インストール』でヒロインを務めた浅川梨奈に、役者として今思うことを聞いた。

【INTERVIEW】『快感インストール』でヒロインを務めた浅川梨奈に、役者として今思うことを聞いた。


映画『14の夜』で長編映画デビュー。それ以降ドラマに映画に数々の作品への出演を重ね、着実に役者としての実力を身につけてきた浅川梨奈。そんな彼女が、Kis-My-Ft2の北山宏光原案、二階堂高嗣主演の青春ラブコメ『快感インストール』でマドンナ役を務める。刺激的な内容ではあるが、「登場人物全員ピュア過ぎる!」と本人も語るこの作品に、一体どのように挑んだのか。彼女の役への向き合い方を追ってみた。

撮影/浦田大作 スタイリスト/山本隆二 ヘアメイク/杏奈 文/竹下詩織

——今作のお話しを頂いた時の率直な感想を教えて下さい。

「Kis-My-Ft2(以下キスマイ)さん原案で以前『BE  LOVE』というドラマをやっていて、その第二弾を今回北山さんと二階堂さんでやることが決まったと聞き、そのあと自分にもお話を頂いて、素直に嬉しかったです。元々私自身dTVでたくさん作品を見ていて、そのdTVのオリジナル作品に携われるのが今回初めてだったので、それも凄く嬉しかったです。おふたりとの共演に関しても、たしか私が小学生くらいの時にキスマイさんがデビューされて、当時のことも凄く憶えていたので、“もうあれから10年になるんだ”“自分も大人になったんだなあ”と実感しました。あと私、『キスマイBUSAIKU⁉』をよく拝見させて頂いて…。今回の作品もラブコメということで、面白くて楽しい作品になるだろうなと思いました」

——実際に台本を読んでみていかがでしたか?

「実は最初に読んだ時、この物語の闇の部分を感じたんです。全体的には凄く明るいお話しなんだけど、後半に進むにつれて出てくる闇の部分を最初に感じ取って。監督の山田さんにもそういう話をしたら、『まさかそっちを先に感じ取るとは思わなかった』って。ピュアで可愛らしくて面白くてっていう、いわゆる“THE・ラブコメ”なんですけど、その中でも芸能界にいるノゾミと大学生のタカ(二階堂)・カズマ(北山)との関係性だったり、交わることのなさそうな3人が交わった時に起こる反応だったり…明るい人達でも、その中で見せる影の部分ってあるんだろうなと感じました。ノゾミの中でも違う人格があって、普通の女の子としてのノゾミと、芸能の仕事をやっているノゾミと。気持ちに真っ直ぐな面もありつつ、本来の気持ちとは反してしまう面もあって、みなさんも作品を見て頂ければ、その闇の部分を感じて頂けると思います」

——現場で原案の北山さんとは何かお話しされましたか?

「実は北山さんとは7年前、『幽かな彼女』というドラマで共演させて頂いているんです。私も生徒のひとりで出演していて、『実は7年前、ご一緒してたんです』というお話をしたら、「うわー懐かしい!」って、たくさん当時の話をして下さって。北山さんは原案ということもあり、撮影中は休憩ごとに監督とずっと打ち合わせをしていて、その様子を目にしていたので、凄く熱心な方だなと思いました。北山さん自身もカズマを演じるにあたって、監督と相談しながらやっていて、みんなで作り上げていこうという雰囲気の現場でした」

——現場は凄く和やかだったんですね。

「カズマとタカ、おふたりの雰囲気もよかったですし、スタッフさんもめちゃくちゃアットホームで、凄く楽しかったです。撮影は全部で1週間くらいしかなかったんですが、チームワークも凄くよかったと思います。何よりおふたりが、本当にずっと一緒にいる親友のような雰囲気だったので、ふたりが普通に喋っているシーンだけでもかわいらしさを感じて。もちろん元々グループとして一緒に活動されているので、本来の仲のよさが出ていたのかなと思います。本編の撮影中はふたりともお互いに集中していることが多かったんですが、エンディングのダンスの撮影の時は台本がある訳ではなかったので、おふたりが一緒の部屋で凄く楽しそうにお話しされているのを見て更に仲のよさを感じました。たまに私にも話を振って頂いたりして、緊張することなく、楽しく現場にいさせてもらいました」

——ノゾミを演じる上で何か気を付けていたこと、意識していたことはありますか?

「ノゾミは普通の女の子ではないけれど、芸能人過ぎもしない、そのバランスが難しかったです。ミスコンに出ている設定だったので、実際にミスコンに出ている方々のSNSを見て、写真の撮られ方や動画のコメントでの喋り方、普段どういう投稿をしているのかを研究したり、その方々を応援している方も見てみたり、そういったやり方で勉強させて頂きました。本当のモデルさんや芸能人だったらある程度想像がつくんですが、大学生というのが全く想像つかなくて。自分は大学も行ってないですし、全く触れてこなかったので。実際にタカがSNSでノゾミのミスコンの時の写真を見ているシーンがあるんですけど、その写真を撮った時も、ミスコンの子達こういう表情してた! っていうのを思い出しながらやっていました」

——少女マンガもよく読まれるとお伺いしました。今回マドンナ役を演じるにあたって、なにかヒントを得たりはしましたか?

「今回の作品は、少女マンガでもあまり見ないくらいにピュアなんですよ。少女マンガって現実にないような設定が多いじゃないですか。でもこの作品は現実にあり得る胸キュンが多いんです。初めて告白をした時、初めて手をつないだ時、初めてキスをした時、そういった感情を思い出させるような。純粋過ぎるシーンが詰まっていたので、個人的にはどの少女マンガよりも甘くて…糖分過多でしたね(笑)。カメラ目線でセリフを言うカットもあったんですけど、今まで生きてきた中で一番恥ずかしかったかもしれない。恥ずかし過ぎて顔が真っ赤になっちゃって(笑)。二階堂さんとのシーンなんですが、タカもピュアだしノゾミもピュアだし、登場人物みんなピュア過ぎるので、その中で演じるのは忘れかけていた何かを思い出させてくれるような感覚でした。更にそのシーンをカメラ目線でもやるっていうのは今までにない経験だったので、すっごく恥ずかしかった!」

——監督とはどんなやり取りを?

「現場では監督と相談させて頂きながら進めることが多かったです。ノゾミは結構リードしていく女の子なので、『これはやり過ぎですかね? こういうの入れてみるのはどうですか?』と話させて頂きながら、タカ役の二階堂さんには何も伝えずに、監督とだけ打ち合わせをして本番でいきなりやってみて素の反応を見てみたり。監督と裏でニヤニヤ、作戦会議をしていました(笑)。でも実際二階堂さんは全く無反応で、カットがかかったあとに『あれ?』って監督と一緒に言いに行ったんです。『さっきのあれ、打ち合わせしてやってみたんだけど』と。すると、『あ~そうだったのか』って。あんまり気に留めてなかったみたい(笑)。だから監督と、『おかしいなあ~』って」

——デートシーンはいかがでしたか?

「あそこは本当にピュアなシーンでした。私、手を繋いで外を歩くなんてしたことがないので、二階堂さんと隣で『手を繋ぐってこんなに緊張しましたっけ』って話をしてたくらい。言ったことのないようなかわいらしいセリフだったり、思い出すだけで恥ずかしくなっちゃいますね」

——ノゾミは女優としても活動しているので、立場的には浅川さんご自身とも重なったのではないでしょうか。

「後半のあるシーンで、自分にグッときてしまった時がありました。仕方ないけどつらい。先程も言っていた、大学生でもあり芸能人でもあるというノゾミの立場に通ずるんですけど、本来の自分とは異なる方向に物事が進んでしまっていることへのつらさ、罪悪感みたいなものがありつつ、やっぱり仕事や事務所の期待にも応えたいという気持ちもわからなくもないなと思って、自分でも演じながら苦しくなっていた部分があります」

——そういった思いを経て、完成した作品を観た感想はいかがですか?

「まだ一話しか見れていないんですが、序盤から面白過ぎるなと(笑)。キスマイのおふたりのアドリブが凄く多くて。例えば急遽雨が降ってしまった時も、タカがアドリブで、外を眺めながら『雨降っちゃってるじゃない…』というセリフを言うんです。完成版を見たら、前のシーンからの続きで、いいタイミングで雨が降ったみたいな流れになっていて。そこのくだりも、私も実際現場で見ていましたが凄く面白いんです。ここだけでこんなに面白いってことは、全体通したらどうなっちゃうんだろう、って凄くワクワクしています」

——エンディングのダンスも凄くかわいかったです。

「あの撮影、凄く楽しかったんです。バレンタインをモチーフにしたフリがあって、指で2月14日を表してるんですけど、最初両方の手でピースをして“2”で、そのあと右手と左手それぞれ1と4にして“14”っていうフリを、二階堂さんが『これさ、ピース2個やったら4じゃない?』と。『だったらこれはどう思います?』って振付師さんとお話しして、『じゃあこっちに変えよう』とか『歌詞の意味はこうだからこういうフリにしよう』とか。二階堂さんが率先して相談しながら進められていました。北山さんはひたすらバランス力がなさ過ぎて、片足で立つ場面でずっと『あ、やばい! やばい!』って(笑)。何回か撮ったんですが、部屋にあった照明に手をぶつけてそれに動揺してフリが飛ぶ、みたいなハプニングがあったり、3人が3人、ソロカットの時に全く同じフリの部分を間違えたり(笑)。ずっと笑いながら撮影していましたね。監督には『ソロのダンスの時はもう役を忘れていいから、本人として踊って』と言われたので、全員思いっきり楽しんでやっていました」

——年始に放送される『逃げるは恥だが役に立つ』にも出演されるそうですが、浅川さんはどんな役なんでしょうか?

「私は星野源さん演じる平匡さんの会社の後輩です。最初『逃げ恥』に出演出来るって聞いた時は、素直にやったー! って(笑)。私の母も凄くこの作品が好きで見ていたので、母も喜んでくれたし、もちろん私も見ていたので、「あの世界観に私も入れるんだ」っていう嬉しさは凄く大きかったです。ドラマが放送されたのが4年前で、今回はその後が描かれています。私が携わっているのは会社のシーンだけなんですが、台本は全て読んでいるので、全体を通してどういう風にこの台本にお芝居がついていくのか、今から凄く楽しみです」

——星野源さんと共演されていかがでしたか?

「源さんは凄くフレンドリーな方です。平匡さんと同じ会社の社員で4人のメインキャストがいるんですが、その4人で話していると源さんも中に入ってお話しして下さったり。私が話していた時も源さんがスーッとやってきて、『うんうん』って話を聞いて『それ、面白いね』と言っていなくなるんです(笑)。時折スーッとやってきて、パーってお話しして去っていく、みたいな。周りを気にして下さる凄く優しい方だなと思いました」

——『逃げ恥』の放送も楽しみにしています。浅川さん自身は今役者として、お芝居の楽しさをどんなところに感じていますか?

「お芝居をする上で自分の中で気をつけたいと思っているのが、当たり前ですが役ごとに声や行動などに変化をつけたいなということです。自分の中でなんとなくそのキャラの癖だったりを決めて、一つひとつより大事にしていきたいなと思って演じています。それを考えることが凄く楽しいし、台本を読みながらセリフの奥底にあるものを考えるのも楽しいです。元々アニメやマンガが好きで、原作があるものだと原作を大事にしたいという思いも強いので、原作と台本を読み合せたり、そのまま再現したりするのも好きですね。自分が好きなことを仕事として出来るって、これ以上ないことだと思います。今回の『快感インストール』みたいに全く原作がないものに関しても、それはそれで自由にやらせて頂けるので、自分の中で色々考えてこういうのどうだろう? ってアイデアがたくさん出てくるんです。それを現場で試してみて相談しながら作っていくのも凄く楽しいなって思います」

——今後の女優としての目標を教えて下さい。

「今まで色んな役をやらせて頂きましたが、どの役をやっても『あ、この役もこの子がやってたんだ』って思われる人になりたいです。今はウィッグを被ることが多いから、『これもこの子なんだ』って言われることが多いんですけど、そういう外見の変化がなくても、お芝居の仕方や表現の変化で『この間と全然違う』って思ってもらいたい。ちゃんと奥底から心情を伝えられるような、丁寧に一つひとつ表現出来る女優さんになりたいなと思います」

 


  ●プロフィール
浅川梨奈/あさかわ・なな
1999年4月3日生まれ、埼玉県出身。映画「14の夜」で長編映画デビュー。『密かな彼女』『女子高生の無駄づかい』『僕らは恋がヘタすぎる』などのドラマや、『咲-saki-』『honey』『かぐや様は告らせたい』などの映画に出演。1月2日放送の『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』にも出演予定。


    ●作品紹介
『快感インストール』
脚本・演出/山田能龍
出演/二階堂高嗣 北山宏光 浅川梨奈 いとうあさこ ほか
dTVにて独占配信中

https://pc.video.dmkt-sp.jp/ft/j0003000