7/22日頃のテーマ:「大暑」の過ごしかた

7/22日頃のテーマ:「大暑」の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第3回は、「大暑(7/22頃)」です。

 

「大暑(たいしょ)」って、どんな季節なの?

いよいよ、本格的な夏の到来! 一年でもっとも暑い時期で、いわゆる「真夏日」「熱帯夜」といった言葉が聞こえはじめる頃です。
季節の変わり目となる夏の「土用(7/19~8/6頃)」にも入っていますから、「清熱解暑(せいねつげしょ)」といって、熱を冷まし、暑さを取り除いていくことが大切なとき。
また、身体の潤いを生み、渇きを止める「生津止渇(しょうしんしかつ)」、心を養い、気を補填する「益気養心(えっきようしん)」も、「身体がだるくなる」「具合が悪くなりやすい」など、夏の体調不良を防ぐための中医学的キーワード。

(※)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

(イメージ:写真AC)

 

「大暑」のパワーフードは?

「大暑」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、とうもろこし
身体のエネルギーとなる“気”を補うのみならず、余分な熱を取ってむくみを解消してくれる、夏場の心強い味方です。平性の食べ物なので、この時期から夏の終わりまで、毎日食べてもかまいません。
食べ方は、皮つきのまま5~6分ほどレンチンするだけ! 皮がラップ代わりになるので、そのままで大丈夫なんです。もちろん、そのままでも美味しいのですが、なんと、とうもろこしのヒゲはむくみを取る生薬。ヒゲを細かく刻んで一緒に炊く、とうもろこしごはんもおすすめです。

(イメージ:写真AC)

【とうもろこしごはん】
〈材料〉
とうもろこし…1本
米…2合
塩…小さじ1強

〈作り方〉
1.研いだ米と塩を炊飯器に入れ、水を目盛り通りに注いで軽く混ぜる。
2.とうもろこしの実を芯から外す。ヒゲの緑の部分を細かく刻む。
3.(2)と芯を乗せ、30分~1時間浸水させて通常通りに炊く。
4.芯を取り除いていただく。

ほかにも、夏バテで食欲のない人は、栄養補給剤となる甘酒もいいですね。ただし飲み過ぎは禁物です。あくまで適量を飲んだ場合のみ「飲む点滴」となることをお忘れなく。
そして、デザートには寒性で身体を冷やしながら便通もよくするところてん(寒天)を、夏場の発汗を軽減してくれるお酢でサッパリといただきましょう。疲れやすい人は、滋養のある黒糖をかけて食べてもいいでしょう。

(※)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

 

「大暑」の頃の、心と身体の状態は?

夏の寝苦しさや食欲不振で弱った身体に、暑気と湿気が追い打ちとなり、病気でもないのに不調が出やすくなる時期。特に高齢者や子どもは注意が必要です。
夏痩せや暑気あたりなども気になるところ。
この時期は、とにかく身体を冷やさないことを心がけてください。

また、メンタル面では、よく笑うことと、おおらかに構えることを意識しましょう。
これらは夏に活発となる五臓の“心”の不調を予防してくれます。暑気による熱はイライラや興奮を作り出しますので、過度な興奮は暑さのせいと理解し、リラックスして過ごしましょう。

 

「大暑」の過ごしかた(養生)は?

冒頭でも述べた通り、この時期は季節の変わり目となる夏の「土用」の真っただ中……。
春夏秋冬のつなぎ目に4回ある「土用」は、いずれも胃腸に負担をかけないことがポイントになりますが、この4回のうち、高温多湿となる夏の「土用」は、とくに胃腸のケアに気をつけたいところです。

この時期の過ごし方としておすすめなのが、食事を抑え気味にしてみること。夏といえば、元気をつけるためにモリモリと食べるといったイメージがあるかもしれませんが、じつは、中医学的な養生の考え方は逆なんです。

もちろん、お腹が空いたときにはしっかり食事を摂りつつ、あまりお腹が空いていないときは一食抜いてみる、あるいは、野菜スープや味噌汁だけにするなど、ひかえめの食事を心がけてみてください。そして胃腸の負担にならないように、しっかり噛むことを意識しましょう。

とはいえ、「常に食欲がない」「まったく食事を受け付けない」というようなら、話は別。きわめて病的な状態ですから、きちんと専門家に相談する必要があります。
しかし、「昨日、一昨日は食欲があったのに、今日はない」といった場合、前日に食べすぎた、夜ご飯が遅くなったなど、なんらかの“理由”があるケースも……。
したがって「いつもと違うことをしていないか?」と、自分に問いかけるクセをつけるといいでしょう。きっと、自分が不調に陥るパターンが見えてくるはずです。

(イメージ:写真AC)

 

「大暑」の中医学的・たのしみごと

「土用」という言葉には、「土」という漢字が入っていますね。中医学におけるもっとも大切な理論「五行論」は、自然界に存在する「木、火、土、金、水」という5つの構成要素と、その特性から成り立つ思想ですが、「土」は万物を生み出す場所とされています。

そこで、この時期は、すべてを生み出す場所=「自分自身」としっかり向き合うのに最適なタイミング!
「自分の本当に好きなものは?」「自分が一番大切にしたいものは?」「これからやりたいこと!」などなど、涼しい部屋であたたかい飲み物を楽しみつつ、お気に入りのノートをひろげてみてはいかがでしょう?

 

人間の内臓温度は、おおよそ38℃に保たれていますが、これは内臓がもっとも活動しやすい温度という、しっかりとした「理由」があります。
でも、エアコンがキンキンに効いた室内で、氷の入った飲み物を飲んだとしたら……? 涼しい部屋では、ぜひ、あたたかいものを飲むようにしてくださいね。熱々でなくても、常温プラスアルファ(38度以上)で大丈夫ですよ!

*次回は8月6日(金)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。 SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。 主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』(当社)、『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方食材帖』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)。監修に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』ほか多数。 Twitter: @PandaKanpo HP:https://yurukampo.jp/

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