8/7日頃のテーマ:「立秋」の過ごしかた

8/7日頃のテーマ:「立秋」の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほどこよみを大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の知恵を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第4回は、立秋(8/7頃)です。

 

「立秋」って、どんな季節なの?

 暦の上では秋のスタートとなる「立秋」ですが、実際には夏真っ盛りといった頃でしょう。
熱帯夜が続き、冷房で身体が芯から冷えている人も少なくないはず
……。ということで、この時期の中医学的養生ポイントは、発汗。
厳しい暑さを避けつつ外に出て、しっかり汗をかくようにしてください。とはいえ、秋の入り口にあたりますから、暑さばかりに気を取られず、
早寝早起きなど、そろそろ秋の養生にも目を向け始めたい頃です。

(イメージ:写真AC)

 

「立秋」のパワーフードは?

 「立秋」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、
温性※1の桃は、果物ではめずらしく、身体を冷やす心配がありません。また、甘味と酸味は潤いとエネルギーを補給。血流のめぐりを改善し、消化を促し、秋の臓器である肺※2を潤して呼吸を整えるといった働きのある、まさに最強パワーフード! 桃の最盛期となる7月後半から8月は、おいしい桃をしっかり食べて身体を潤し、秋口の乾燥に備えておきましょう。

 また、暑さに疲れている頃なので、胃腸を元気にして疲労回復してくれるブロッコリー、面白いところでは、身体の熱を冷ます「清熱(せいねつ)」作用を持った蕎麦もおすすめ。
蕎麦は血の巡りをよくして胃腸を整えてくれるので、この時期、ちょうど「食欲低下」「胃腸の調子がイマイチ」と悩む人に、ピッタリの食べ物なんです。ただし、身体を冷やす性質があるので、冷たい「ざるそば」などを食べる際は、かならず蕎麦湯と一緒に。

また薬味のネギやわさびは温性で、蕎麦の冷やす性質を緩和してくれます。お腹が緩い、食欲がイマイチという人は薬味たっぷりで食べましょう。逆に熱がこもって、暑さがとれず食欲旺盛な人は、薬味を少なめにして、不要物を排出し、熱を冷ます海苔をたっぷり食べましょう。

ちなみに、蕎麦湯は蕎麦そのものよりもミネラル分が豊富! ぜひ、先に蕎麦湯をもらって、飲みながら蕎麦を食べるといったな食べ方をしてほしいですね。

(※1)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

(※2)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

(イメージ:写真AC)

 

「立秋」の頃の、心と身体の状態は?

 「夏バテ防止」のために肉などを食べ、逆に胃腸に負担がかかっている人が多くなる時期です。
胃腸が弱ると、身体がエネルギーを作ることができなくなってしまうので、くれぐれも肉の食べ過ぎには注意したいところ。
また、秋の入口ですので、乾燥による便秘を訴える人も出てくる頃かもしれません。便秘がちの方は、加熱した葉野菜や発酵食品などをしっかり摂って、腸内細菌のバランスを意識してみましょう。

 メンタル面では、夏のあいだ外へと向いていた気持ちが、秋に入って内へと向かうため、気分の落ち込みや悲しみなどの感情などがみられるかもしれません。
そんなときは「秋口は落ち込みやすい時期だ」と、割り切って捉えてみるのもいいでしょう。

 

「立秋」の過ごしかた(養生)は?

 この時期の過ごし方のポイントは、冒頭でも触れた通り、しっかり汗をかくこと。
立秋といえども、まだまだ陽気の強い暑い頃ですから、アクティブに動いて適度な汗をかき、身体の熱を取るようにしてください。

 とはいえ、夏のあいだ発汗し続けているこの時期は、「滋陰清熱(じいんせいねつ)」といって、こもった熱を取りつつ、身体を内側から潤していくことがキーワードとなります。
肺はとにかく乾燥に弱いため、先ほどご紹介した桃など、食べ物でしっかりと
潤いを補給することが、養生のコツ。ぜひ、秋の乾燥シーズンで肺が弱るのを防ぐといった予防的な意味合いでも、この時期はホットヨガやサウナでの過度な発汗は避け、潤いを補給する食材を摂るよう、秋の養生を心がけていきましょう。

 また、夏は活動する時間を多くするため眠る時間が遅くなっても早く起きることが養生のひとつとされていますが、秋は逆。徐々に夜が長くなっていくこれからの時期は、しっかり眠ることが大切です。
ぜひ、早めに寝てしっかりと睡眠をとる
早寝早起きを意識してみてください。

(イメージ:写真AC)

 

「立秋」の中医学的・たのしみごと

 秋口は、気分の落ち込みや悲しみなどの感情などが出やすい時期。そんな時こそ、しっかりと「深呼吸」をすることが、ラッキーアクションとなります。秋は肺に負担がかかりやすい季節なので、意識して整えてあげるといいでしょう。

 そこで「立秋」には、景色のよい屋外のカフェなどで、肺を潤す桃のデザートをいただきながら、思いっきり深呼吸してみてはいかが……? 日頃の緊張や疲れをフーッと吐き出せば、きっと身体のみならず、心も潤うことでしょう。
まだまだ暑いので、ついつい冷たいお酒やジュースに手が伸びる人も多いかもしれませんが、冷たい飲み物は逆に身体を疲れさせてしまうので、くれぐれもご注意を。

 

私たちの身体をおいしく潤してくれる、果物――。夏から秋にかけては、特においしい時期なので、ぜひの果物を食べましょう。時期の順は、サクランボスイカメロン柿となります。
とはいえ、果物も「水菓子」。果糖の取り過ぎや冷えに注意を
……。食べ過ぎはよくありません。
なにごとも「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ですね!

*次回は8月20日(金)更新予定です。

 構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』(当社)、『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方食材帖』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)。監修に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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