8/23日頃のテーマ:「処暑」の過ごしかた

8/23日頃のテーマ:「処暑」の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第5回は、「処暑(8/23頃)」です。

 

「処暑(しょしょ)」って、どんな季節なの?

厳しい暑さがやわらいできます。まだまだ暑い時期ですが、「処暑」の「処」は“来て止まる”という意味。つまり、ようやく暑さがおさまってくる頃です。
朝夕には涼しい風が吹き、少しずつ、しのぎやすい日も増えてくることでしょう。
とはいえ、夏の疲労がピークを超え、一気に“疲れ”を感じ始める人も多い頃……。中医学では「清熱潤燥(せいねつじゅんそう)・滋陰補肺(じいんほはい)」といい、熱を冷ましつつ乾燥を防ぎ、夏の疲れた身体に潤いと元気を与え、秋に向けて肺を補うとよい時期とされています。

(※)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

(イメージ:写真AC)

 

「処暑」のパワーフードは?

「処暑」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、山芋
山芋は、山薬(さんやく)と呼ばれ、じつは、たくさんの漢方薬にも配合されている生薬なんです。身体を元気にし、潤いを補い、肺と胃腸と足腰を強め、若々しさまで保つという、エネルギー補給剤として、まさに、この時期“食べないと損”な食材。
平性の食材ですが、できれば、加熱して食べるとなおよし。簡単でホクホク美味しい「山芋ステーキ」などいいですね。

また、「処暑」の中医学的キーワードのひとつ「滋陰」の食材としておすすめなのが、豚肉。豚肉は潤いを補う力が強いので、この時期にうってつけの食材です。
加えて、同じく「滋陰」によい松の実を、ぜひ、取り入れてみましょう。馴染みがないという方も多いかもしれませんが、品揃えのよいスーパーにはかならず置いてあるので、意外と手に入りやすい食材です。
スナックとして軽く炒って食べるのもいいですし、ごはんと一緒に炊く「松の実の炊き込みご飯」は食感もたのしく、栄養満点ですよ。

(※)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

(イメージ:写真AC)

 

「処暑」の頃の、心と身体の状態は?

朝夕など、急に涼しくなるので、風邪をひく人が多くなる頃でしょう。気温差から、鼻水、咳、喉の痛み、だるさなどが出やすくなります。
先ほども述べた通り、「処暑」の時期は、夏の疲労がピークを超え、一気に“疲れ”を感じ始める頃。その疲れが風邪のような不調に繋がりやすくなります。
また、寒暖差のみならず気圧差の変化も激しい時期ですので、頭痛などを訴える人も多いかもしれません。

メンタル面では、「立秋(8/7頃)」を越えて秋に入っているため、“もの悲しさ”の感情が強くなってきます。過度な悲しみは、さまざまな不調を作る原因に……。
そこで、もしネガティブな感情にとらわれたら、「秋だから……」と自分を納得させた上で、ぜひ、呼吸にフォーカスを!
背骨を内巻きにせず、なるべく横隔膜を広げるように意識しながら深呼吸。意識的にくり返すことで肺が強く養われ、気持ちも穏やかになるでしょう。

(イメージ:写真AC)

 

「処暑」の過ごしかた(養生)は?

中医学では、春に種をまき、夏に繁栄させ、秋に収穫し、冬にはその収穫をもとにゆったりと過ごす“自然の摂理”に沿った生き方を大切にしています。
したがって、秋に入ったこの時期は、あまり活動的にならず、春夏にしっかり活動した結果を“収穫”し、心身ともに休むことを意識し始めるとよい頃でしょう。
新しいことをスタートさせるのではなく、少しずつクールダウンするよう、心がけてみてください。

また、疲れが出やすい「処暑」のような季節の変わり目には、「扶正祛邪(ふせいきょじゃ)」といって、エネルギー(正気)を補給・充満させ、寒暖差などで発生する病気(邪)を遠ざけるという考え方が、重要なポイントになります。

まずは、しっかりと休息をとり、食欲を落とさないよう気をつけること。気の使いすぎ、体力の使いすぎ、そして暴飲暴食には、くれぐれも注意が必要です。
これらがしっかりできていないと、心身ともに消耗し、つねにエネルギー不足という状態に陥ってしまうことも……。
抵抗力の低下から、邪気が入り込む“隙間”を作ってしまうことになりかねません。

 

「処暑」の中医学的・たのしみごと

どうしても風邪をひきやすい季節の変わり目は、なるべく素肌を出さないように心がけたいところ。
気温的にはまだ暑く、ついつい“素足にサンダル”“袖なしの服”などを選びがちですが、できれば養生のひとつとして、羽織るものを一枚持ち歩いておくといいですね。

そこで、薄いカーディガンや、ストールなど、見るだけで気持ちがパッと華やかになるような、お気に入りの羽織もの「一枚」を見つけてはいかが?
素材にこだわるのもいいですし、元気の出るビタミンカラーをセレクトすれば、センチメンタルになりがちなこの季節の“お守りアイテム”になること間違いなし!

 

風邪の予防には、肺を潤してくれる「豆乳」「豆腐」などの大豆製品、それから白きくらげなどもおすすめです。ところで、これら肺によい食材の共通点――何か気づかれましたか?
そう、肺は「白い食材」が好きなんです! ほかにも、白ごま、白菜、梨、れんこん、ゆり根など……。
ぜひ、秋口には「白い食材」と覚えておきましょう。

*次回は9月6日(月)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny

 

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』(当社)、『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方食材帖』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)。監修に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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