『おそらく彼は「もう1度話し合おう(涙)」と来ます。 でも実は、「しばらくほっておいたら、どうにかなるだろ」と思っています。』

『おそらく彼は「もう1度話し合おう(涙)」と来ます。 でも実は、「しばらくほっておいたら、どうにかなるだろ」と思っています。』


「私って、男性運がないんですよ……」

いままで何人の女性から、このことばを聞かされたことか。みんな、弱々しい笑顔、寂しそうな表情で、あきらめたような口調で、自己憐憫チックに、こういうことをホザくのです。
みーんな同じ。金太郎飴状態。でも、そういうことを聞かされるたび、僕はいつも

「①そういう相手を選んじゃったこと、②違和感を拭えないまま流されちゃったこと、③騙されちゃったこと、④捨てられちゃったこと、⑤すべてをひっくるめて不幸になっちゃったこと、それって全部、自分自身のせいじゃね?」

と、相手を気遣うことなく力強く単刀直入に、なんの躊躇もせずにはっきりと心のなかで思ってしまうのでした(思うだけかよ)。

で、そんな経験があるからこそ、『おそらく彼は「もう1度話し合おう(涙)」と来ます。 でも実は、「しばらくほっておいたら、どうにかなるだろ」と思っています。 – 男の本音を密告する「恋の男子更衣室」 -』(山田 玲司・著)の著者には強く共感できるなあと思ったわけです。

印南さん連載用text

yamada

恋愛のマニュアル化を風刺した『Bバージン』でブレイクした漫画家による、大人の恋愛サイト「AM」での連載を書籍化したもの。なのですが、ここでいろいろ相談してくる女性たち全員が、上記の「男性運がない」といいたがるタイプと見事に合致するんですよ。

 「『つきあう』と『セフレ』の違いって何?」
 「付き合って日が浅い彼の子を妊娠してしまいました」
 「LINEでの告白、男性は嬉しい? 嫌?」
 「新婚なのにセフレが忘れられない」
 「私は利用されているだけ? 彼に貸したお金の行方がわからない」

うーん……なんだかなぁ……そうやって行き詰まってるから、いつまでたっても前に進めないんじゃないのかなぁ……(余計なお世話)。

と僕は感じてしまうわけですが、この著者がすばらしいのは、こういう方々の悩みに対しても、ときにストレートに、ときにやさしく答えていること。この包容力こそ、サイトでの人気の高さを裏づけるものなのでしょうなあ。
そういう意味で、非常に楽しみがいのある本だといえます。

そんな著者は「エピローグ」に、とてもよいフレーズを寄せています。
それが今回の「神フレーズ」。「愛のある人生のための3原則」と題されたそれは、

「笑え」「聞け」「否定するな」(188ページより)

というもの。笑顔は人を幸せにし、幸せにしてもらった人は、その相手を幸せにしたくなる。

だから、人間関係の基本は「まず笑顔から」。次に、自分の話をするより、相手の話を聞くこともまた「幸せになるための基本」。話を聞いてもらった人は心が軽くなるので、今度は相手の話を聞こうという気持ちになる。
すると心の距離が近づき、つまらない誤解や敵対関係は消えるという考え方。

そして最後は、自分の考えとは違うことをいわれても、簡単に人を否定してはいけないということ。
すべての発言には「背景」があるので、すぐに「ダメ」といわない。それが大切だというわけです。

でね、本書でさまざまな相談に答える著者は、まさにこれを実践している。

だから、的を射た回答の信頼感は、さらに大きくなる。おそらく、その部分が共感を呼ぶのでしょう。でも僕自身、常に「笑って」「聞いて」「否定していない」とはいい切れないから、なんとなく耳が痛いや。まだまだ未熟だな。精進しなくちゃ。

 

『おそらく彼は「もう1度話し合おう(涙)」 と来ます。でも実は、「しばらくほっておいたら、 どうにかなるだろ」と思っています。~男の本音を密告する「恋の男子更衣室」~』

Written by innami atsushi
innami atsushi

印南 敦史(いんなみ・あつし)/作家・書評家・ライター 1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は、「ライフハッカー[日本版]」「マイナビニュース」 「ニューズウィーク日本版」「Suzie」など多くのメディアで連載。最新刊『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社刊)がベストセラー記録更新中。FMおだわら78.7Mhzで 毎週日曜日20:30~21:00(再放送:金曜22:30~23:00)、ラジオ番組「印南敦史のキキミミ図書館」のパーソナリティも。http://book-radio.net

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