【自律神経ケア】もうすぐ立冬。1年間の健康状態を左右する「冬の過ごし方」とは?


不調の改善の近道は、自分に合ったセルフケアの方法に出会うこと。
『自律神経にいいこと大全100』の発売を記念したこの連載では、予約が取れない鍼灸師として大人気の森田遼介先生が、自律神経を整える簡単なセルフケアを毎週ご紹介します。
今回は「冬の過ごし方」について。


暦の上での冬は、立冬(2023年は11月8日)から立春(2024年は2月4日)までの約3か月間。
東洋医学の五行説(五行論)1では、感情(五志)や臓器(五臓・五腑)を5つに分け、それぞれに季節とも深く関係していると考えられています。

今回は、新刊『自律神経にいいこと大全100』から今すぐ使える自律神経を整えるセルフケア方法として、「冬の過ごし方」を鍼灸師の森田遼介先生にご紹介いただきました!

※本記事は、森田遼介:著『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

(※1)五行説(五行論)……万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素で構成されていると考える思想のこと。

 

冬はとにかく冷やさない

冬の過ごし方は、次の1年間の健康状態を左右します。
冬は五臓(ごぞう)の「腎(じん)」と関係が深く、腎は生命エネルギーや水分代謝、骨に関わる重要な臓腑(ぞうふ)です。また、腰や気圧に関係の深い耳、婦人科系の疾患、甲状腺機能異常、抜け毛、歯や生理トラブルなどにも深く影響を及ぼすところですので、しっかりと養生していきましょう。

気をつけるべきことは、とにかく「冷え」です。腎は冷えに弱いので、首や手首、足首を温めるのはもちろんのこと、腹巻きをしてお腹や腰、お尻部分を冷やさないようにしましょう。

冷えは本当に様々な不調の原因となります。
例えば、腰痛の原因を調べるためにレントゲンやMRIなどの画像検査を行っても、8割以上のケースでは原因を特定することはできないといわれていますが、根本の原因に冷えがある人が非常に多くいます。

 

冬に多い寝違えに注意

体を冷やさないことについてはくり返しお伝えしていますが、やはり冬は最も体が冷えやすく、血流が悪くなり、筋肉が硬くなりやすいです。
そのため、冬は寝違えやギックリ腰のトラブルが増加します。寝違え防止のために、ソファーなどで寝てしまうようなことは極力避けましょう。
柔らかいソファーで寝てしまうと、首の角度が悪かったり、寝返りの数が少なくなるなどの影響から、寝違えやギックリ腰などの炎症症状が起こりやすくなってしまうのです。

もし寝違えてしまった場合は、経絡(けいらく)の「小腸経(しょうちょうけい)」をほぐしましょう。手を軽く握った時、手相の感情線の先端にあるのが、小腸経に属する「後渓(こうけい)」というツボです。

他にも小指から内側の肘まで走る尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんそっきん)という筋肉を押したり、お灸を据えると、首が楽になるのでお試しください。

 

冬におすすめの食材

腎を補う黒い食材

冬に関係の深い「腎」の働きを補う食材は、「黒い食材」です。
黒豆や黒ごま、昆布、ひじき、きくらげ、そばなどがあります。
そばに含まれる「ルチン」は、もろくなった血管を新しく弾力性のある血管に戻す働きがありますが、水に溶ける性質があるため、そば湯を一緒にいただきましょう。お店では店員さんに伝えるともらえるはずです。

体を温める陽性食材

また、体を温める陽性食材を積極的に食べましょう。
豚汁は、陽性食材をたくさん摂れるので冬におすすめな料理です。土の中で育つ根菜類は体を温める性質があり、豚肉はビタミンB群が豊富で、特にビタミンB1の含有量は食材の中でもトップクラス。寒く疲れやすい日におすすめです。
一部の地域では豚汁に生姜を入れますが、生姜も代表的な陽性食材で、保温効果が高まります。

冬の五味・鹹味食材

最後に、冬の五味(ごみ)※2である鹹味(かんみ)食材です。
鹹味とは「塩辛い」という意味で、塩、味噌、しじみ、昆布、ひじき、小魚などがあります。
厚生労働省※3の調査でも、寒い地域ほど食塩摂取量が多い傾向にあることが分かっています。塩分を摂ることで血圧や体温の維持につながり、寒さを耐えしのぐために必要な味です。
摂り過ぎは良くありませんが、他の季節よりも少し料理の塩分を強めにしてもいいでしょう。

(※2)五味……東洋医学の「五行論」に基づき、食べものを酸・苦・甘・辛・鹹の5つに分類したもの。
(※3)厚生労働省の「国民健康・栄養調査(平成28年)」の報告。

新刊『自律神経にいいこと大全100』では、他にも季節に合わせたセルフケアや食材をご紹介しています。自分に合った養生を見つけて、1年間をより一層健康に過ごしていきましょう!

イラスト/日江井香

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自律神経にいいこと大全100
著:森田遼介

森田遼介
TC鍼灸マッサージ院 院長

国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で、人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」出演。書籍『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。本書が初の著書となる。
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