『お父さんがキモい理由を説明するね 父と娘がガチでトークしました』

『お父さんがキモい理由を説明するね 父と娘がガチでトークしました』


僕にはふたりの子どもがいます。上は男で、大学3年生。そろそろ就活なのでこれから苦労するのでしょうが、それもまた勉強。どんなふうに悩み、どう立ちまわって、どんな仕事を選ぶのか楽しみではあります。

で、下は娘なのですが、息子とは11歳も離れているので、まだ小学4年生。この春で5年生になります。

子育てについては、男の子の成長を見てきた時点でそのおもしろさ(男子ならではのバカさ加減)にたいへん満足した部分がありました。そんなこともあり、実際に生まれるまでは、特に「次は女の子じゃなきゃいやだ!」という気持ちがあったわけでもなかったのです。

というよりも、娘を持つということにある種の恐れを感じていたといった方が正しいかもしれません。
男の子は(バカだし)育てるのが比較的楽だったのですが、同じ手段が女の子にも通用するとは思えなかったし。

なにしろ性別が違いますからねぇ……。
男の子とはまったく異なる育て方がそこにはあるはずで、だから不安だったわけです。

でも、十分に予想できる展開だと思うのですが、生まれてみると、女の子も非常にかわいい。
たしかに育て方、接し方は男の子とは全然違うんだけど、だからおもしろいといいますか。
年端もいかないころから大人っぽい振る舞いをしてみたりするので、なんだかもうおっかしくて。

若いころはそのおかしさを理解できなかったから、「女の子は生意気でかわいくない」くらいにしか思えなかったんだけど、それはそれはおもしろいのです。

これは、娘さんをお持ちの男性ならきっとわかることだと思います。
ありがたいのは、一緒に外に出たときなど、まだ普通に向こうから手をつないできてくれること。
くつろいでいるときに覆いかぶさってきたりもするし、やっぱりうれしいんだな。

ただし、そこに時間制限があることもわかっています。おそらくもうそろそろお風呂には一緒に入ってもらえなくなって、小学校を卒業するころにはディスられることになるのでしょう。
そんな展開を望んでいるはずもないのだけれど、それが成長というものなのだから、まぁ仕方がないのでしょうね。

しかしまぁそんなわけなので、『お父さんがキモい理由を説明するね 父と娘がガチでトークしました』(中山順司著・泰文堂刊)という本の存在を知った時には、無条件で興味を惹かれたのです。
IT企業で働く40代のお父さんが、毎週土曜日の朝、朝食を外でとりながら3ヶ月間にわたってサシで語り合った、その記録。

印南さん連載用text

お父さんがキモい理由を

突然、「アイスが食べたい」とねだってきた娘とふたりでコンビニに行った際、「お父さん、アタシ告白されたんだ」という、父親にとっては衝撃以外のなにものでもないことを打ち明けられたことが発端となり実現したものなのだそうです。

「キモい」と拒否していた自分になぜ相談を持ちかけるのかたずねてみたところ、「お父さんは、冷静に話を聞いてくれると思ったから」という答えが返ってきたという時点で、この人は間違いなくできた人。

はたして同じ状況になったとき、僕はそういってもらえるのか自信はありませんが、いずれにしても、娘を持つ父親にとってこれはたまらなくおもしろい本なのです。

だから当然のことながら「神フレーズ」満載なんだけど、そんななかから選んだのはこれ。
「キモくないお父さんを目指して努力したいんで、『こうすればキモくない』っていうリクエストを聞かせてよ」という問いかけに対する、娘の言葉です。

もっと、自然に振る舞ってほしいの。娘が好きって感情を抑えて、いいものはいい、ダメなものはダメって言ってほしい。親は子どもに対して、叱るべきときはビシッと叱るべき。甘やかしてばかりだと、なんていうのかな……子どもの人生をダメにしちゃうんじゃないの?
(46ページより)

子どものことを、いつまでも子どもだと考えているのは親の間違いで、彼ら彼女らはきちんと社会と接し、そこから立派な考え方を身につけているんですよね。この子のこの言葉には、それがはっきりと現れているように思います。

休日にはよく、娘を外に連れ出します。なにか用事があるわけではなく、単に一緒に外に出たいから。ですが、女の子は、そういうところをしたたかに見極めるんですよね。

妻によれば「私にはそんなこと絶対にいわない」そうなのですが、手をつないで外に出て、数歩歩くと必ず、娘はこういうのです。
「ねえ、なにか買って!」
ずるいなあと思うんですけど、「高いものはだめだよ」とか、謎の条件を出してOKする僕も僕。
「これでは甘すぎるなぁ」とも思うのですが、「あと数年だろうから」という思いもあるかな……。
というわけで、いろいろ悩んでしまうわけです。

 
『お父さんがキモい理由を説明するね ~父と娘がガチでトークしました~』 

Written by innami atsushi
innami atsushi

印南 敦史(いんなみ・あつし)/作家・書評家・ライター 1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は、「ライフハッカー[日本版]」「マイナビニュース」 「ニューズウィーク日本版」「Suzie」など多くのメディアで連載。最新刊『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社刊)がベストセラー記録更新中。FMおだわら78.7Mhzで 毎週日曜日20:30~21:00(再放送:金曜22:30~23:00)、ラジオ番組「印南敦史のキキミミ図書館」のパーソナリティも。http://book-radio.net

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