初の告白フォトエッセイが話題! 中山咲月さん『無性愛』発売記念インタビュー前編


――恋愛感情はなくても、親愛の情などはあるのでしょうか?

友達に対しての親愛とか、家族愛はあります。告白していただいた人とお付き合いした時も、その人に対しての愛情はあるんですよ。でもやっぱり、恋愛感情を向けられると、どうしてもダメで……。
正直な話、行為や接触は我慢できるんです。もう無機質ですけど、ある程度は感情がなくてもできる。でも感情的な部分が…。「私のこと好き?」と聞かれるのが一番つらかったですね。嘘をついて答えるしかなかったので。
でも嘘をついてしまう自分も嫌で、感情を偽るしかない関係もつらくて。なので、「このままお付き合いしていたら嫌いになってしまうかもしれない」「あなたのことを嫌いになりたくない」と伝えて、お別れしましたね。

――お相手の方もその時はとてもつらかったと思いますけども、それを伝える中山さんもつらかったということがよくわかります。こういったことは、無性愛者であることの苦しみとも言えると思いますが、逆に、無性愛者でよかったなと感じることはありますか?

ありますね! 自分が恋愛感情を持てないからなのか、誰か人と会う時に、相手のことを男性や女性として認識しません。男性だからこう接しようとか、女性だからこう接しよう、ということができない。性というものを意識できないんです。
だからこそ、その人のことを一人の人間として先入観なく見られるので、その人が持っている良いところが、すごくわかるんですよね。だからなのか、昔から相談相手に選ばれやすいです(笑)。

――なるほど。男性はこうだ、女性はこうだ、というフィルターがないのですね。バイアスがかかっていないというか。

そうなんだと思います。例えば男性から、「好きな人が男性で」という相談をされても、「へぇ、そうなんだね」と普通に聞けちゃうんです。普通だったら男性は女性を好きになるものだ、という気持ちもないので。
相談してきた人から、「普通そういう反応しないんだよ」って言われちゃうくらい(笑)。いい意味でフィルターがないんだと思います。
「相談した時に良いアドバイスをしてくれる」と周りから結構言われるんですけど、それはもしかしたら、男性だから女性だからということではない視点で、冷静にアドバイスできるからなのかもしれません。恋愛でも、最終的に大事なのは性別ではなく、人間性ですもんね。

――確かにそれは、お友達からしてもすごく頼りになる相談相手ですね!

結構自分、役に立っているんじゃないかな?と思ったりしますね(笑)。


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