【interview】独特な世界観のジオラマを作るHanabira工房、創作の極意と素顔に迫る!


その動画だけなぜ伸びたのか? を分析する

――この本には、初心者でもできるジオラマ&ドールハウスの作り方がとても丁寧に記載されていて、「見る」という楽しみ以外にも「作る」という楽しみ方ができる本だな、と思っているのですが、これを見て作ってみようという方に向けてのアドバイスはありますか?

Hanabira工房 今まさに自分がそうなんですが、細かくて根気のいる作業なので、没頭しすぎて心身を壊してしまうのだけは気をつけていただきたいですね。自分は没頭するあまり、ヘルニアになってしまったので……。最初に妥協しない、ってお話をさせていただいたのですが、きちんと心身を整えて創作活動に励んでいただけたらうれしいですね(笑)。

――その流れでお聞きするんですが、Hanabira工房さんの1日のスケジュールって、どういう感じなんですか?

Hanabira工房 最初の頃は昼夜問わず、集中力が途切れるまで作業をしていたのですが、さすがにもたなくなってしまったので、今は午前11時ごろからはじめて、午後6時くらいまでにしています。会社務めをしている方と同じくらいの時間帯ですね。こういう会社勤めじゃないフリーの仕事だと、最初の頃は“休むこと”に罪悪感があったんですけど、あまりにも調子が出ないときに休みたくないけど休む日を作ったら、最終的な作業ペースがあまり変わらず「こんなものか」ってわかったので、心身は大切に、ただクオリティは妥協しないって決めています。

――使われている素材なども、基本的には100円均一などで買えるもので構成されていますよね。Hanabira工房さんも、こういうミニチュア作りは0からのスタートだったと思うのですが、さまざまな知識はどこから得たのでしょうか?

Hanabira工房 自分の場合、始めるにあたって参考にさせていただいたのは、ミニチュア作りで有名な方のチャンネルというより、知名度は劣るけど1本だけすごく再生回数が伸びている動画を参考にさせていただきました。基礎的な知識はもちろん、なんでその動画が伸びたのか、というところに皆さんが“見たい”の答えがあると思ったんです。

――なるほど、それはミニチュア作りだけじゃなく、全ての仕事に通ずる考え方かもしれないですね。ご自身が1番思い入れのある作品はどれですか?

Hanabira工房 全てに思い入れがあるのですが、100均のフォトフレームを使ったお花屋さんというのは、ドールハウスなどをテーマに作っていこうというきっかけになった作品ですし、初めて再生回数も伸びたので、特に思い入れがありますね。

Hanabira工房 この本に載っているので言うと、本棚のやつ。これは本を作るだけで1か月かかったので(笑)、作業の大変さも含めてすごく印象に残っています。

 

普通だったら目がいかないようなところを見てしまう

――本当に細やかなところまでこだわりが見えて、例えば出てくる紅茶が「午前の紅茶」になってたりとか(笑)。こういう小ネタといわれるようなところも真剣にやられているな、といつも感服しています。

Hanabira工房 自己満足ではあるんですけどね(笑)。ただ昔から映画とかアニメなどを見ていても、本筋よりも脇役だったりとか、普通に見ていたら目がいかないようなところを見てしまうクセがあって。そういうところが作品にも活きているのかも、とは思います。

――これまでお話を聞いていても、どなたにも影響を受けずに、見てくださる方が喜ぶことを試行錯誤しながらやってらっしゃるように感じるのですが、心に残っている言葉はありますか?

Hanabira工房 そうですね、友人に「すぐに0か100かで考えちゃうよね」って言われたのは残ってますね。

――それは良い意味で言われたんですか? それとも悪い意味?

Hanabira工房 たぶん、どちらもあると思います(笑)。自分としてもなるほどな、と思いつつ、例えば70点を目指したら、70点以下しか出せないなってのは思っていて。0か100かの100は、自分としてはそういう気持ちなんですけど、でも少し極端に考えすぎてないか、と気にするようにはなりましたね。

――このYouTubeチャンネルを続けていくのだけでも大変だと思うんですが、今後もっと挑戦したいことはありますか?

Hanabira工房 実は最近、電子やプログラミングを勉強したいと思っていて、いつかそういう分野でも面白いものが作っていければいいなと思っています。

――なるほど。すごくストイックなんだな、と思いましたし、そのうえで遊び心があるのが素晴らしいなと思いました。そもそも、このミニチュア作りも、家でもう使わなくなったドールハウスをリメイクするというのは、捨てる同然のものを発想を転換させて、新たな息吹を吹き込むってことで、それってすごいSDGsだなって。

Hanabira工房 ありがとうございます。動画コメントやSNSで「Hanabira工房さんを見て、私もミニチュア作りを始めました」って言われるとすごくうれしいですし、そういう輪が広がっていくのは本当に良いことだな、と思います。この本を読んで、またそういう輪が広がっていけば良いなと思います。

写真/市瀬 真以

ちいさい世界づくり
著:Hanabira工房

Hanabira工房

ミニチュア作家。2016年頃、ものづくりとYouTubeに興味を持ち、趣味の延長として作品を動画投稿するようになった。2019年からドールハウスを本格的に作りはじめ、身近な材料を使用して作られる精巧な作品に大きな注目が集まる。100円ショップの材料を使ったジオラマや、独自の世界観や日常の一コマを再現したドールハウス作品が人気で、再生回数500万回超の作品も。現在、チャンネル登録者数は81万人を超える(2022年3月現在)。本書が初の著書となる。
●YouTube Hanabira工房
●Twitter @Hanabira7878
●Instagram @hanabira_kobo

※本記事は、WANI BOOKS NewsCrunch <https://wanibooks-newscrunch.com/>独特なジオラマを作るHanabira工房、創作の極意と素顔に迫る!(2022.3.28)を、加筆編集したものです。


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