『マツコの知らない世界』出演決定!お弁当のスペシャリストが語るお弁当のセカイ


お弁当を作る時のポイントはありますか? 

お弁当づくりが苦手と言う人に話を聞くと、お弁当のためだけにおかずを作られている方がとても多いです。毎日朝食と夕食のメニューを考えないといけないのに、そこにお弁当まで…。でも、それって結構大変。

だから私は、夕食の分もと思って多めに作ることを心がけます。多めに作っておけば、夕食の準備も楽になりますし、本書にも載せている汎用性のあるおかず、今日のお弁当なら塩つくねの作り方を覚えれば、鳥だんご汁にも出来るし、豆腐と混ぜて豆腐ハンバーグにしても大丈夫。その日の夕食に出して「お弁当の残りものだね」と言われるなら、翌日にずらして、ソースだけ変えれば、使い回しの残り物とは感じなくなります。

あくまでお弁当は朝食と夕食の間にあるもので、特別なものでもなんでもない。夕食のついでと気楽に考えることが大事だと思います。

 

ちなみに今日のメニューを流れでご説明すると…

1.灰汁がほとんど出ない、いんげんを塩ゆでする。

2.いんげんを引き上げて、かぼちゃをゆでる。

3.野菜を茹でている間に、塩つくねを作って焼く。

4.塩つくねを焼いている間に、いんげん、かぼちゃの味付け

たったこれだけです。包丁を持つ前に、3分。スタートからゴールまでの道筋を頭の中で整理する。それからとりかかることで、作業の流れが滞らず、その結果3分以上の時間短縮、つまり楽ができるんです。

少しの工夫や、頭の中を整理するだけで、時短や節約にもなりそうです。見た目はとてもシンプルですが、おいしそうです!

お弁当はシンプルが一番。奇抜なことは全くする必要はないと私は思っています。

でも実は、切干し大根ではなく、ゆで干し大根というものを使っていたり、かぼちゃは夢味(ゆめみ)という白皮のかぼちゃ。硬いけど、加熱するとすごくホクホクなんですよ。そんなふうにマイナーチェンジをしています。

新しい野菜などは、食べる前に見た目で警戒されないよう、気づかれない程度に内緒で使っています(笑)。子どもたちが、食べた後にいつもと違う食感や味に気づいて「これ、ちょっと違うね?」なんて言うと「お、わかった!?実はね…」と会話も弾むことも。

お弁当を持ち運んでいると、いざ食べようと思ってふたを空けると悲惨な状況に…。おかずを詰めるときのポイントはありますか?

1番の問題は、「隙間」です。ごはんやおかずなどの隙間を気にする方は多くいらっしゃいますが、お弁当の深さを気にする人は意外と少ないんです。歩いている時は、上下にも振動しているので、浅く詰めてしまうとごはんがどんどん圧縮されて隙間ができて、おかずが動いてしまうんです。だからおかずをたてかけてつめるのは、高さを出すというコツでもあります。

高さを意識するというのは初めて知りました!さて、今回の書籍を通じて一番伝えたいところは何ですか?

「お弁当を食べる人が主役」、ということでしょうか。

難しい料理や奇抜なものや、キャラ弁のような盛り付けは、お弁当でなくていい。逆に、もしお弁当だけでそれをするなら、それは他人の目が気になっているからかも。

でも、それって本質的に意味がないと思うんです。環境や時間が変わると、人間関係って簡単に変わるものです。長いスパンで見ると、とるに足らないもの。そこに心を揺り動かされずに、家族と心を通い合わせていれば、その方がずっとずっと尊い人生の記憶になる。

お弁当は、作った人のものではなくて、食べる人のものなんですよね。だから食べる人がどう解釈するかに尽きると思うんです。食べる人に寄り添うことが、最大にして唯一。

最後に読者の方へ一言お願いいたします!

お弁当は、食べる人が「おいしい!」と言ってくれることが一番です。その「おいしい!」が自分の心の中に一番大きく残ると思います。気負わずに、誰の目も気にしないで、食べる人の事を思って作るお弁当は、どんなものでも食べる人にとって最高のものです。少しでも、日々のお弁当づくりのお役に立てることがあれば、こんなにうれしいことはありません。

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『お弁当づくりの地頭がよくなる お弁当のセカイ』

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30年間お弁当をつくり続けるお弁当のスペシャリストが教える、がんばらないから続けられるお弁当のセカイ。


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