【ダイエットの落とし穴】嫌いな上司と酒を飲んだ女の末路(前編)

【ダイエットの落とし穴】嫌いな上司と酒を飲んだ女の末路(前編)



「読めば痩せる!?」笑えるダイエットストーリー、第16話!


 

《第16話》「10キロダイエットもいよいよ折り返し! 嫌いな上司と酒を飲んだ女の末路」(前編)

すこぶる機嫌が良い。

だってぇ……

今日は……

体重の最小値が出たから〜! いえい!!

 

これで、10キロ痩せると言い出してから、4.8キロ減!
いよいよ折り返しが見えてきた。

10キロ痩せることになってからかれこれ7ヶ月くらいが経とうとしている。
7ヶ月で4.8キロ減。
……まあ、決して早いとは言えないですよね。うん。

いやでも!
でもですよ!

「選ぶもの大作戦」を始めるまでは全く痩せなくて、「選ぶもの大作戦」を始めてからようやく痩せ始めたわけで(第6話参照)。
だから、そこからがダイエットのスタートと考えると、
約5ヶ月で、4.8キロ減なんですよ!

……

まあ、決して早いとは言えないですよね。うん。
1ヶ月に1キロですから。

いや、でも、それでも!

ゆっくりではあるけど!

確実に、着実に、痩せている。
正直、全然頑張らずにダイエットやってるのに、痩せている!

私のモットーは『意志弱く! いかに楽して痩せるか』

そんな私の楽して痩せるダイエットの中軸を担っているのが、

「選ぶもの大作戦」「ざっくりレコーディング」
そして最近編み出した「擬態めし」

まあ、なんやかんやはあるものの、これらを駆使して、
ゆっくりではあるものの、
月に1キロペースではあるものの、
確実に痩せてきているのだ!

5キロも
5キロも!! 痩せたのだ。

ま、痩せたからって、誰に褒められるわけでもないって知ってるんだけどね。

てか、私以外、私が痩せたことなんて気づいてないんじゃないかと思う。
てか、私以外、私が痩せたことに興味がある人間なんていないだろうとも思う。

いや、別に気づかれたいからダイエットしてるわけではないし、
自分がやりたいから、自分のなりたい身体になりたいからやってるだけだからいいんだけれども。(ちょっと褒められたいって気持ちはあるけど)

ま、自分で自分を褒めてやろう。

いや、言ってもまだ折り返し。
あと5キロ痩せないといけないわけで。
あんなツイート、もとい、あんなポストをしてしまったばっかりに……。

でも、この調子ならあと5キロくらい全然いけるっしょ!
ひとまず今日は体重最小値更新したし、気分良く仕事できるぜぃ!!

と、私は意気揚々と会社に向かった。

 

ダイエットの結果が出るとホントに気分がいい。
もうノッリノリで仕事ができる。
ダイエットが成功してるとQOL上がるんだな〜と感心してしまう。

そうなると、もっと痩せたくなるのが人間というもので。
もし、1ヶ月に1キロじゃなくて、1ヶ月に2キロ痩せられたら、あと2ヶ月ちょっとで10キロ達成できるわけか……。

ん? ちょっと、なんか、やる気出てきたかも?

となると、やっぱり次に目を向けるべきなのは……運動か。
しかし……私は、小さい頃から大の運動音痴。

「ボールは友達。こわくないよ」
とあるサッカー少年の言葉だ。

いや、お前友達を蹴りたおしてんじゃねーか。
そんなツッコミもろともせず、彼はボールを友達と言い張る。

が、
私にとって

もはや向かってくるだけで恐ろしい。

それほどに、私は運動が苦手なのだ。

そんな私だが、少し前に友人・モッちゃんとジムに行き、ウエイトトレーニングに触れた。
絶対できないと思っていたのだけど、意外となんだかんだそれなりにできたことに驚いた私。(第11話第12話参照)

あれから数回、モッちゃんに誘われてジムに行ってはいるが、そんな週に何回もというような頻度ではない。
モッちゃんとだからなんだかんだ楽しく出来てはいるが、正直一人なら絶対やろうとは思わない。

でも、1ヶ月に2キロ痩せられたら、あと2ヶ月半で目標達成できるというのは正直めちゃくちゃ魅力的……

んーどうするべきか……。
と思い悩んでいる私に、すぐ仕事を振ってくるボール(女上司)が近寄ってきた!

「ちょっといい?」

「よくねーよ」と、心の中では思いつつも、
そんな風に思っていることはおくびにも出さず、とびっきりの笑顔で

「どうしました?」

と返す私。

嫌そうな顔は厳禁。そんな顔をしても私にはなんの得もない。
嫌そうな顔で得られるのは上司からの低評価と、
やりたくない仕事を振られる可能性が高まることだけ。

どうせ新しい仕事振ってくるんだろ?
いいよいいよ。体重最小値更新したし、今日は気分良く仕事できてるからやってやんよ。

と、思っていると……

「ちょっと相談したいことがあるんだけど。仕事の時間以外で今度時間作ってくれたりしないかな?」

相談?

まあ、いいけど。
え? 仕事の時間以外でってことは仕事以外の相談?
上司が? なんの??

……嫌な予感しかしない。

が、私の頭の中であのサッカー少年がガッツポーズで
「上司は友達。こわくないよ!」
と、言ってくる。

いや、友達ではないだろ。
と思いつつ、まあそんなことはどうでもよくて。

私はひとまず上司に、
「もちろん!」
と。笑顔で応えた。
上司がよくわからないことを言ってきた時には、とりあえず笑顔。
これが私のビジネス処世術だ。

上司は私の返答に笑顔になり、私の側を離れていく。

 

……あの厳しい女上司が私に相談って……いったい何の……??
え? まさか私クビになる? いやいやいやそれはないそれはない。
だって私何もしてないし。
まあ心の中では上司を幾度となく殴り蹴りはしてきたけど。
え? 心の中もダメですか?
心の中で上司を蹴り飛ばしたらパワハラですか?
このご時世、心の中でもコンプラ遵守ですか?

 

そんな感じで私がしばらく混乱していると、上司からスケジュール合わせのLINEが届く。

「基本こっちがスケジュール合わせるから。いける時あったら教えて」

……優しい。
普段と違い優しすぎることに強烈な違和感を覚えつつも、
上司とスケジュールを合わせ、ご飯にいくことに。

上司から続けて
「なにか食べたいものある? リクエスト何でも応えるよ!」
と届く。

え? 怖い怖い怖い! 優しすぎる!
え? マジでなに?? 怖すぎるんだけど……。

「上司は友達。こわくないよ!」

いや怖ぇよ!! 全然怖ぇよ!!

えー……
でも……もし選べるなら……

「和食がいいかもです! お刺身とか食べたいです!」
と、とりあえず元気な感じで返信しておいた──。

 

何かと厳しい女上司からの突然の誘い。
それをきっかけに、

私の順調に見えたダイエットは、

大失敗の末路を辿ることに……

なるのだが、続きはまた次回に──

 

ひとまず、あの優しいLINEの後で、女上司から
「あ、さっき言い忘れたけど、追加で新しい仕事頼みたい」

と来たので、とりあえず私は心の中で、

10キロ痩せるまで、あと5.2キロ──

 

“知識”を身につけた未来のわたしから一言二言

思えば、この時は順調だったなー……。
と、しみじみ思うわけですが。

まあでも、うまくいくこともあれば、失敗することもある。
それは、仕事も、恋愛も、生活も、人生も、
そしてダイエットも、同じなんですよねー……。

しまった。感傷に至っている場合ではありませんでした。

さてここでは、
なぜ私が上司から「何食べたい?」と聞かれて、
「和食」とチョイスしたのかを軽く説明したいと思います。

もちろん理由はそっちの方がダイエットに有利だから。

単純に和食は調味料としての脂質が少ない。

以前にもお話した通り、脂質は1gあたり9kcal。
他の栄養素の糖質やタンパク質が4kcal。
なんと、脂質は1gあたりのカロリーが倍以上あります。

だから脂質を少なくすれば、カロリーが下げられるというわけです。

外食で洋食を食べるとなると、コンビニやスーパーなどと違って食べるもののカロリーがわからないこともよくありますが、和食なら、調味料に脂質を使っていることが少ないので、食材さえわかればある程度カロリーの予想がつく。だから、カロリーの読みやすい「和食」がダイエット時の外食ではおすすめです。

あと、焼き鳥屋さんなんかもカロリーが読みやすくて、かつ低カロリーなものが多いですよ。
もし自分で飲み会などの場所を選べそうな時は、和食や焼き鳥を選んでみてください!

でも「和食の気分じゃない!」ってこともありますよね?
そんな時は、大手のチェーン店を選ぶのもありです。
チェーン店は、サイトを見ればカロリーがわかることが多いし、レコーディングアプリによってはお店の名前を入れれば、パッと出てくるものもあります(「あすけん」は結構出てくるから便利)。

要は自分が食べたカロリーさえ把握して、ざっくりレコーディングさえ出来ていれば、後はなんとでもなるってことです。

そして全部ひっくり返すようなことを今から言いますが、

外食の時くらい、別に好きなところで食べるのもありです!

外食した日が多少オーバーカロリーになったとしても、他の外食しない日で「選ぶもの大作戦」を使ってカロリーコントロールできていれば、ダイエット中の外食も、毎日のように続かない限りは恐れることはないのです。

でも、そんな時でもざっくりでもいいので食べたものをレコーディングする方が、
把握につながるのでおすすめではあります!

(第17話につづく……2024年3月25日公開予定)

作者/【体脂肪率3%の脚本家】の保木本真也
『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)『事件』(WOWOW)など
ベストボディジャパン2023松山大会 モデルジャパン部門ミドルクラス グランプリ

イラスト/藍沢みお、津和野諒


Written by 保木本真也

「日本一の脚本家」にはどうひっくり返ってもなれなそうなので、「日本一イイカラダをした脚本家」を目指す、日本で最も間違えた方向をひた走る脚本家。
コンテスト出場時は体脂肪率を3%にまで下げ、仕事のクオリティを下げたり下げなかったりするので、今、「日本一間違えた脚本家」であることは言うまでもない。
※体脂肪率は体成分分析装置InBodyによる測定。
X(旧Twitter) @HOKKII

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