一人暮らし歴20年の雨宮まみさんが初の暮らしエッセイ本


なるほど。案外自分では気付かない部分もまわりの人が教えてくれそうですね。今回のお部屋改善で、無事撮影も終わり……まさに、雨宮さんにとっての“理想の部屋”になったのでしょうか?

 う~~~~ん(苦笑)、理想になったとまではいかないですけど、撮影のために準備したので撮影後はきれいにはなりました。なかなか思い切って部屋を変える機会ってないと思うんですけど、“人を呼ぶ”とか小さな目標があると、「ここはおかしい!」と部屋を見る目が厳しくなったり、「あれを買い替えると予算的に厳しいけどどうにかならないものか……」と知恵を絞ったりできたので。理想にはだいぶ近づいたと思いますが、あとは写真に「引き」のショットがないことでお察し下さい(笑)。

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“人を呼ぶ”という目標があると、部屋づくりもはかどりそうですね! 本書では、以前長く住んでいた家にはあまり部屋に人を呼べなかったとありますが、これまではどんなお部屋に住まれていたんですか?  

まず学生時代に住んでいた部屋、そこから引っ越して1年弱住んだ部屋があって、その次の部屋に10年以上住み、短期間で引っ越した1軒を挟んで、今の部屋に落ち着きました。

一番長く住んでいた部屋は1階で6畳の1Kだったんですけど、とても古いし湿気もすごくて、治安が悪い地域で「ゴッサムシティ」(注:「バットマン」に登場する治安が凄惨な架空都市)と呼んでいました。Webの連載が始まる直前までそこに住んでいたので、そんな家に長く住んでいたのに、「理想の部屋まで〜」なんて言っちゃって、自分でも詐欺みたいだなと思います(笑)。その部屋には友達も呼べませんでした。

でもあるとき、引っ越そうかなと考えたタイミングでものを処分したら、同じ部屋なのに見違えるくらいに良くなって。住んでいる部屋自体は変わらなくても、部屋の中のものの色遣いや家具の配置などで結構変わるんだな、とびっくりしたことがあったんです。部屋が悪いんじゃなくて、自分が悪いんだなと思った瞬間ですね。

賃貸ではない家に住んでいたり、事情があって引っ越せない人も、片付けや家具の配置などで雰囲気を変えられるんですね。ものを捨てるのが中々苦手な人もいると思うのですが、どんな気持ちで挑んだら不要なものを捨てられるんでしょうか? 

性格にもよるんでしょうけど、私の場合は昔のものを見返すことがあまりなくて、どんどん捨ててしまうんですよ。たとえば洋服で「これ着てないんだよな……」「高かったけど3回しか着てない……」って思うものがあっても、捨ててしまえば思い出さないんだから、忘れたいものや嫌な思い出が少しでもあったら「これは縁起が悪い」ということにして罪悪感ごと捨ててしまって、はじめから無かったことにします。そうすれば結構スッキリするんで、「最近調子よくないんだよな」というときは全部もののせいにしていらないものを手放します。 

「罪悪感ごと捨てる」って良いですね! ものを捨てれば、部屋も心もスッキリしますね。 

ものが減ったからといって運気が変わるとは思わないんですけど、嫌な気持ちを引き起こすものを手放すと、気分はだいぶ変わりますね。私は特に、本を整理したりすると「こういうのが好きだったんだよな」っていう自分のルーツを再発見できたりして役に立つときがあります。

片付けることは、捨てるためというよりは “思い出して把握する”っていう感覚に近いですね。春夏になったら秋冬のことを忘れているから、ものを見て「こんなマフラーもあった!」と思い出して似たものを買わないようにする、っていう感じで。 

片付けてスッキリするだけでなく、雨宮さんのお部屋の素敵なチェストのように、お気に入りの家具を際立たせられるといいですよね。 

表紙にも使われている青いチェストは、買った経緯を本の中にもくわしく書きましたが、インドの通販サイトで買ったので、本当に届くのか不安で、注文してから届くまでをSNSで実況したりと、色々ドラマがあったんです。家具とか食器とか、部屋の中のものって人に見せるために買うわけではないけれど、このチェストを買ったときは、探すのを手伝ってくれた人や、届くか心配してくれた人に見せようと思って「タンス飲み」という名目で仲間を部屋に呼んで呑んだのもいい思い出です。それからわりと人を部屋に呼ぶのに抵抗がなくなってきて。部屋を変えたおかげで面白い展開があったなと思います。今回、本の表紙にも登場させてもらったので、観光名所じゃないですけど、誰か来てくれたときに「これがあのチェストだね!」という感じになりそうです(笑)。 

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